斜交葉理(クロスラミナ) 【美濃地方の露頭17】

可児市のほぼ中央部にある二野・羽崎地区(久々利川沿い)や大森地区(大森川沿い)は、かつて可児郡平牧村と言われた地域です。この地域に広く分布する地層は平牧層と呼ばれています。

この平牧層は、美濃加茂盆地地域に分布する瑞浪層群最上部層をなしています。平牧層は、凝灰岩層、凝灰質礫岩層、凝灰質砂岩層、凝灰岩質泥岩層、巨岩塊を伴う凝灰岩層、軽石質凝灰岩層など、ほとんど火山性の堆積岩層からなっています。

この堆積物の内部には、斜交葉理(しゃこうようり、又はクロスラミナ)と呼ばれる堆積構造を見ることができます。

斜交葉理とは

地層のうち、厚さ1cm以上のものを層理、1cm未満のものを葉理と呼びます。

斜交葉理とは、この葉理が縞模様のような筋を作っている部分で、浅い水域で水の流れる方向や速さが変化することで形成されます。

写真の右上から左下にかけて、斜めの筋が入っているのがわかるかと思います。また写真上部では、左右に筋が見えます。これが斜交葉理です。(黄色のスケールは20cmです。)

斜交葉理の重なりから当時の水流などの方向を推定することができます。

今回の露頭

可児市二野にあるトンネルの南450mほどの道路沿いに連続した露頭があり、凝灰質砂岩層や凝灰質礫岩層、軽石質凝灰岩層などが堆積していますが、ここに斜交葉理が広く見られます。目印として、二野のトンネルと斜交葉理の露頭の間には「JAめぐみの」の建物があります。

写真は同じ露頭を東から、その下の写真は南東から撮ったものです。どちらの写真にも写っているスケール(写真右側)は1mです。

同じような写真が2枚並んでいますが、写真の下にある●を、左の写真は左目で、右の写真は右目で見て、重ね合わせるようにすると立体的に見ることができます。

平牧層についてはこちらの記事でも紹介していますので、合わせてどうぞ。

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この記事を書いた人

元小中学校の教員(岐阜県美濃地方)。
定年退職し、今までなかなかできなかった川沿いの地質などを見て回っています。
特に、長良川沿い(支流を含めて)、長良川鉄道沿いの地質を広めていきたいと思っています。
「みのひだの地質99選(岐阜新聞社発行)」とHP「ジオランドぎふ」を参考に、岐阜県美濃地方を歩いています。

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