濃飛流紋岩の溶結凝灰岩【美濃地方の露頭59】

濃飛流紋岩は岐阜県の面積の約1/4を占めるといった非常に広い範囲に分布します。

郡上市和良町鹿倉オンボ谷沿い

濃飛流紋岩の大部分は大規模な火砕流によってもたらされた堆積物で、火山灰や鉱物粒、軽石などが自分の重さや保持された熱によって、互いに密着してくっつき、溶結凝灰岩と呼ばれる堅固な岩石からなっています。

濃飛流紋岩中の溶結凝灰岩は、基本的にはほぼ均質な非常に厚い板状の堆積物を形成し、そのような単位を火山灰流シートと呼んでいます。濃飛流紋岩は10枚ほどの火山灰流シートに区分されています。その火山灰流シートの中で、濃飛流紋岩の岩体の中央部に広く分布するのが高樽火山灰流シートで、層厚は約700mです。濃飛流紋岩中で最大規模が下呂火山灰流シートですが、それについで規模の大きな火山灰流シートです。2mmほどの径をもつ石英の粒を大量に含み、異なった場所であっても同じような見かけをしています。

郡上市和良町鹿倉の西北西には、高樽火山灰流シートの溶結凝灰岩が露出し、柱状節理が見られます。柱状節理は、火山噴出物の冷却による体積収縮にともなってできた割れ目で、ここでは径1mにも達するような柱が束ねられた状態で露出しています。場所は、和良町鹿倉から県道323号を西~北西へ進むと、オンボ谷と支流の御坊川の合流点の手前に大月橋がありますが、その橋を渡ったすぐの露頭です。

柱状節理はこちらの記事でも紹介しています。

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県外編11:柱状節理の美しさ!やくの玄武岩公園(京都府) 柱状節理は、液体であるマグマが冷却して固体になるときに体積が小さくなるために、規則正しい割れ目ができたものです。基本的には六角形の柱状になるように割れ目が入っています。六角形が科学的に安定していることは、蜂の巣のハニカム構造が有名かもしれません。

下の写真は少し離れて、北東から道路の下の溶結凝灰岩を撮ったものです。柱状節理がよくわかります。

下の写真は溶結凝灰岩を接写したもので、写真の横幅は8cmです。この溶結凝灰岩は高樽火山灰流シートで、写真のように2mm前後の石英粒(見かけ上、灰色をした三角や四角の結晶)が点在しています。

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この記事を書いた人

元小中学校の教員(岐阜県美濃地方)。
定年退職し、今までなかなかできなかった川沿いの地質などを見て回っています。
特に、長良川沿い(支流を含めて)、長良川鉄道沿いの地質を広めていきたいと思っています。
「みのひだの地質99選(岐阜新聞社発行)」とHP「ジオランドぎふ」を参考に、岐阜県美濃地方を歩いています。

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