不破高校裏の東海層群【美濃地方の露頭74】

伊勢湾濃尾平野の周囲には、新第三紀中新世後期~第四紀更新世前期にかけて、湖や河川の流域に堆積した礫・砂・泥などが積み重なる地層(東海層群)が分布します。

この地層は当時形成された東海湖と呼ばれる湖などに堆積したものです。この湖は150万年前くらいになるとかなり縮小し、100万年前ぐらいになると消滅したようです。その湖の縮小・消滅の時期に形成された堆積物が東海層群の上部層で、南宮山の周囲や上石津町などに分布しています。

南宮山の北麓にある不破高校の南西には、礫・砂・泥などの地層が分布します。不破高校の南西に動物止めと思われる柵がありますが、そこから南へ50mほどのところで谷(笹石子谷)に下りて、上流に向かうと左岸や右岸に露頭があります。

礫層や砂層などが見られます。調査によると、破損の少ない多くの種類の植物化石が含まれていることがわかっているようです。また、砂層内には、斜交葉理とよばれる斜めに筋が見られる堆積構造を示す部分があり、水流のある堆積環境で形成された地層であることを物語っています。

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白っぽい35cm前後の層厚をもった地層はシルト~砂からできていて、その上下の褐色の地層は礫層からなっています。

下の写真は、礫層に近づいて撮ったものです。

下の写真は、上の写真の場所から下流に進んだ左岸の露頭を南東から撮ったもので、ハンマーの位置の下方に斜交葉理が見られます(この写真では確認できませんが)。写真は同じような写真が二枚並んでいますが、それぞれの写真の白丸を、左の写真は左目で、右の写真は右目で見て、重ね合わせるようにすると立体的に見えます。

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この記事を書いた人

元小中学校の教員(岐阜県美濃地方)。
定年退職し、今までなかなかできなかった川沿いの地質などを見て回っています。
特に、長良川沿い(支流を含めて)、長良川鉄道沿いの地質を広めていきたいと思っています。
「みのひだの地質99選(岐阜新聞社発行)」とHP「ジオランドぎふ」を参考に、岐阜県美濃地方を歩いています。

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