郡上市高鷲町の上野高原(東海北陸道ひるがのSA近辺)の地表には、厚さ1〜1.5mほどの火山灰層が堆積していて、遠く離れた場所から飛来したものだと考えられています。
火山灰層は全体的には赤土層をなしていて、岩相と構成鉱物から大きく3層に区分されています。
噴出場所がわかっているのは、中部層をなす地表から1.7~2m下に見られる厚さ30cmほどの茶褐色の火山灰層で、それが高山軽石層と呼ばれる火山灰層です。約30~35万年前(第四紀更新世中期)に噴出した火山灰で、1mmほどの金色に見える黒雲母が多く含まれていることを特徴としています。
高山軽石層は飛騨山脈の槍ヶ岳西方にある樅沢(もみさわ)岳火山の水鉛谷給源火道からもたらされた火山灰層と考えられていて、飛騨地方では各地の古い河岸段丘上や緩やかな山麓に分布しているようです。
高鷲町の上野高原には大根畑が広がっていて、そこを何本か道が通っていますので、大根畑の断面を見られるような崖(露頭)があります。県道321号ひるがの高原線を牧歌の里の入口から南西へ1kmほど進んだところに交差点があり、そこを右(北西)に曲がったところに崖(露頭)があります。
写真は1番上の写真の中央部を西から撮影したもので、真中近くに写っているスケールの長さは1m(上の写真も同様)です。
ここは、一時期は地層の観察がしやすかったですが、現在は植物が生えてわかりにくくなっています。このような露頭は、新しい地層からできているため、すぐ植物が生えてしまったり、崩れてしまうことが多くあるのです。
下の写真は高山軽石層の部分を近づいて西から撮ったもので、黄色のスケールは20cmの長さです。少し黒っぽい部分(層)が高山軽石層の堆積している部分です。
下の写真は12年前に撮ったものです。現在と比べると植物が少ないのがわかります。