美濃地方ではなく飛騨地方ですが、濃飛流紋岩の火道の一つと考えられている場所が金山町田島の飛騨川左岸で見られますので紹介します。下呂市指定の天然記念物になっています。
白川町から国道41号を北進すると、しばらくは飛騨川の右岸(西側)を通ることになります。飛騨金山へ至る直前で飛騨川沿いから離れますが、その辺りに七宗ダムがあり、そのダムの堤体から飛騨川の下流に火道角礫岩(田島火道角礫岩と名付けられています)が露出しています。
地下のマグマが地表に噴出するときの道が火道ですが、濃飛流紋岩などの火砕流堆積物の場合、大量の噴出物が火道の上を覆ってしまうため、堆積物によって隠されてしまい、火道を埋めた岩石を見ることはなかなかできません。ただ、田島火道角礫岩は、濃飛流紋岩全体の南西部の西縁に位置し、美濃帯堆積岩類との境界付近にいくつかの岩体として分布しています。
岩石名としては、大部分が火山角礫岩や火山礫凝灰岩からなっていて、火山活動の出口通路(火道)を埋めたものと考えられています。径1cm以下の細かい礫から径1m以上の巨大な岩塊まで、いろいろな大きさの礫が見られます。それらの礫の間を結晶を多く含む凝灰岩が埋めています。礫の種類は濃飛流紋岩と美濃帯堆積岩類(チャート・砂岩・泥岩など)ですが、濃飛流紋岩の方が大きいです。濃飛流紋岩の溶結凝灰岩の礫は丸みをもっているものが多く、この丸みは勢いよく噴出する火山灰によって磨耗されてできたものと考えられています。
ハンマーがある位置の丸っこい礫は溶結凝灰岩です。
下の写真は離れて、道路から西下に向いて撮ったものです。右上に写っているのが七宗ダムの堤体の一部です。同じような写真が二枚並んでいますが、それぞれの写真の白丸または黒丸を、左の写真は左目で、右の写真は右目で見て、重ね合わせるようにすると立体的に見ることができます。