流紋デイサイト質貫入岩【美濃地方の露頭53】

白川町上油井の佐見川沿いには、流紋デイサイト質貫入岩と名付けられている岩石が露出しています。

濃飛流紋岩の一部ではありますが、溶結凝灰岩や花崗斑岩・花崗閃緑斑岩とは異なります。

加茂郡白川町上油井佐見川右岸河床

JR高山線下油井駅から国道256号を北進し、700mほど進むと飛騨川の支流の佐見川を渡ります。線路も近くを通っており、佐見川に架かるJR高山線鉄橋下の河床に比較的見やすい流紋デイサイト質貫入岩が露出しています。

写真の上部に写っている橋脚はJR高山線の橋脚です。

この岩石は、下油井駅の東あたりを中心にして、南北に約3km、東西に約0.5kmの規模で露出しています。

この岩石は貫入岩と名付けられています。実際、岩体の形は貫入岩のようですが、花崗斑岩・花崗閃緑斑岩のような液体のマグマが他の岩石中に入り込んで冷え固まったという一般的な貫入岩とは違うようです。

5mm以上の大きさの結晶や1mm以下の小さな結晶などの様々な大きさの結晶を多く含み、また破片状の結晶を含むのです。

つまり、マグマ中の液体状の破片や火山ガス、鉱物の結晶、岩片などがごちゃ混ぜになって激しく噴出し、火砕流によって運ばれ堆積したという火砕流堆積物の特徴をもっているのです。地下のマグマ溜りの中で、マグマに溶け込んでいる揮発成分(おもに水)が気体となって発泡し、火砕流として噴出する直前で固結してしまったのだと考えられています。

写真は流紋デイサイト質貫入岩を近くから写したもので、写真の縦の長さは約10cmです。

下の写真は露頭から離れて北から撮ったものです。中上と下の写真は同じような写真が二枚並んでいますが、それぞれの写真の黒丸または白丸を、左の写真は左目で、右の写真は右目で見て、重ね合わせるようにすると立体的に見えます。

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この記事を書いた人

元小中学校の教員(岐阜県美濃地方)。
定年退職し、今までなかなかできなかった川沿いの地質などを見て回っています。
特に、長良川沿い(支流を含めて)、長良川鉄道沿いの地質を広めていきたいと思っています。
「みのひだの地質99選(岐阜新聞社発行)」とHP「ジオランドぎふ」を参考に、岐阜県美濃地方を歩いています。

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