美濃地方の露頭その7で紹介した坂祝町勝山の砂岩泥岩互層の露頭から、西(木曽川下流)へしばらく進むと、層状チャートが分布しています。
北からの支流(迫間川)の合流地点の東側に層状チャートの露頭があります。ここの層状チャートは、次回紹介する坂祝町取組の赤褐色のチャートとは対照的に、緑色のチャートが広く見られます。
写真は支流(迫間川)の合流点近くの露頭を北から撮ったものです。
さらに西へ100m弱進むと、層状チャートに数10cmほどの径をもつ甌穴が多く見られます。
赤褐色のチャートは含まれている鉄分が酸化して赤鉄鉱として含まれていますが、緑色のチャートは鉄を含んだ緑色の粘土鉱物を含んでいます。
甌穴は、上流から運ばれてきた石が岩盤の表面にある割れ目などにひっかかり、強い流れの中でその石が回転し、ドリルのように岩盤に穴をあけることによって形成されます。岩盤が硬くない場合は、穴ができても周りがくずれるため、しっかりとした穴が残りません。そのため、甌穴は河床の岩盤がチャートのように硬く、かつ激しい流れを生じる場所で発生します。
上の写真は、甌穴を西から撮ったものです。この甌穴は、長径が180cm、短径が120cmで、深さは70cm以上(甌穴に円礫が入っているため底がわからない)です。
次の写真は、甌穴が多く見られる露頭を北から撮ったもので、その下の写真は南から撮ったものです。同じような写真が二枚並んでいますが、写真の下にある黒丸または白丸を、左の写真は左目で、右の写真は右目で見て、重ね合わせるようにすると立体的に見ることができます。
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