傘岩と千畳敷岩【美濃地方の露頭34】

岐阜県の中津川市から恵那市にかけての広い地域には、苗木花崗岩と呼ばれる花崗岩が分布します。

この花崗岩は、中生代白亜紀後期の濃飛流紋岩の活動に引き続いて形成された花崗岩類の一つです。恵那市大井町の恵那峡周辺で見られる傘岩千畳敷岩はいずれもこの花崗岩でできています。

まさ

花崗岩は固い岩石ですが、マグマがゆっくり冷え固まったことで、同じような大きさの鉱物が結晶化して全体を埋めている(等粒状完晶質)ため、気温の変化などで膨張と収縮を繰り返すことによって、鉱物単位でばらばらになってしまうことがあります。

ばらばらになった粒をまさと呼び、ばらばらになって粒状になることをまさ化といいます。

写真は傘岩の西側にあたる駐車場の一部を撮ったもので、花崗岩が風化してまさ化している露頭です。

傘岩と千畳敷岩

花崗岩は本来堅固な岩石ですので、ばらばらになっていない部分は硬く残り、ばらばらになっている部分は砂粒や小さな礫などになり、雨水などで流れて移動します。この特徴が、傘岩と千畳敷岩の独特な形を生み出しています。

傘岩の北側に見られる千畳敷岩は全体が硬く残っています。写真は、傘岩の北東にある千畳敷岩を西から撮ったものです。

一方、傘岩はほとんどがまさ化して、きのこ状に残っています。傘岩の上部表面と千畳敷岩の表面は硬く残っていて、見た目も似ています。かつての地面だと考えられます。

どの写真も同じような写真が二枚並んでいますが、写真の下にある丸を、左の写真は左目で、右の写真は右目で見て、重ね合わせるようにすると立体的に見ることができます。

こちらでも花崗岩の風化した様子を紹介しています。

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立体視用の写真の作り方はこちらで紹介しています。

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この記事を書いた人

元小中学校の教員(岐阜県美濃地方)。
定年退職し、今までなかなかできなかった川沿いの地質などを見て回っています。
特に、長良川沿い(支流を含めて)、長良川鉄道沿いの地質を広めていきたいと思っています。
「みのひだの地質99選(岐阜新聞社発行)」とHP「ジオランドぎふ」を参考に、岐阜県美濃地方を歩いています。

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