安山岩の岩脈【美濃地方の露頭10】

坂祝町取組の木曽川右岸の層状チャートの中に、層状チャートの層理面にほぼ平行に安山岩貫入している場所があります。

マグマなどの液体が他の岩石の割れ目に入り込んで固まることを貫入と言いますが、このとき、割れ目に沿って入り込んで冷え固まるため板状に分布することが多く、これを岩脈と呼びます。

(下の記事で紹介している露頭は、赤いチャートに黒い安山岩が貫入しているので貫入の様子がとてもわかりやすいです。)

あわせて読みたい
長良川鉄道の車窓からみた岩石 その13 長良川沿いのチャート層その3と同じ場所を長良川鉄道の車窓から眺めることができます。 長良川鉄道下りの場合、相生駅に到着する40秒ほど前に通過する長良川の支流(...

写真は坂祝町取組の木曽川右岸にある層状チャートに、安山岩岩脈が貫入しているところを南西から撮ったものです。下部に写っている暗褐色の岩石が安山岩岩脈です。層状チャートの割れ目にマグマが入り込み、安山岩岩脈になりました。

木曽川沿いの層状チャート中の安山岩岩脈 :加茂郡坂祝町取組木曽川右岸河床

ここ坂祝の安山岩岩脈は詳しく研究されており、大半が厚さ数m程度で、延長数10mと比較的規模は小さいことがわかっています。また、年代測定もされていて、白亜紀後期である約9000万年前と約8400万年前という年代が得られていますが、貫入後の鉱物の変質の影響で本当の年代より新しい年代が出ている可能性があるようです。

次の写真は同じ露頭を南から撮ったもので、左側の暗褐色の岩石が安山岩岩脈です。同じような写真が二枚並んでいますが、写真の下にある白丸を、左の写真は左目で、右の写真は右目で見て、重ね合わせるようにすると立体的に見えます。 

最後の写真は安山岩岩脈の見やすいところを近づいて撮ったもので、写真の縦は5cmです。

同じくチャートの中に、泥岩が貫入しているところも紹介しておきます。

あわせて読みたい
チャート中の泥岩の貫入【板取川沿いの岩石15】 関市洞戸高見と板取白谷の境界を板取大橋が通っています。板取大橋から下流側(東側)を見ると、下の写真のように見えます。 関市洞戸と板取の境界地点:チャート中の泥...
よかったらシェアしてください!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

元小中学校の教員(岐阜県美濃地方)。
定年退職し、今までなかなかできなかった川沿いの地質などを見て回っています。
特に、長良川沿い(支流を含めて)、長良川鉄道沿いの地質を広めていきたいと思っています。
「みのひだの地質99選(岐阜新聞社発行)」とHP「ジオランドぎふ」を参考に、岐阜県美濃地方を歩いています。

目次