長良川鉄道の車窓からみた岩石 その5

郡上市美並町根村には、長良川の右岸側(西側)に還流丘陵とよばれる小山があります。

還流丘陵は、現在流れている河川の流路と、かつて流れていた河川の流路に囲まれてできた丘陵です。

現在の川は、人間がつくった堤防と呼ばれる人工物によってさえぎられている場合が多いため、
真っ直ぐに流れるのが川の性質のように思われがちです。

しかし、川は曲がりくねって流れる(蛇行)のが本来の姿です。

長良川本流の大部分は、美濃帯堆積岩類と呼ばれる岩石の中を流れています。
美濃帯堆積岩類は付加体堆積物であるため、チャートのような侵食に強い岩石と、
泥岩や砂岩のような侵食にそれほど強くない岩石が接して分布しているところがあります。

チャートなどの硬い部分があると侵食しにくいため、侵食しやすい部分(泥岩や砂岩など)を削りながら曲がりくねって川は流れようとします。
しかし、曲がり方が大きくなると、流路はショートカットしてもとの流路につながってしまいます。
そうすると、蛇行部分が流路から切り離されることになります。
その結果、曲がった流路の跡が低地となり、残った部分が丘陵となります。

長良川鉄道下りの場合、「みなみ子宝温泉駅」を出て約1分30秒のところで、
車窓の左側に還流丘陵が見えます。美濃市駅を出てからは、約21分30秒のところです。

写真が二種類ありますが、上の写真は列車の車窓から西側を撮ったものです。

下の写真は線路脇から南東より還流丘陵を撮ったものです。
下の写真において、右と左それぞれの写真の下の●を、左の写真は左目で、右の写真は右目で見て、重ね合わせるようにすると立体的に見えます。

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この記事を書いた人

元小中学校の教員(岐阜県美濃地方)。
定年退職し、今までなかなかできなかった川沿いの地質などを見て回っています。
特に、長良川沿い(支流を含めて)、長良川鉄道沿いの地質を広めていきたいと思っています。
「みのひだの地質99選(岐阜新聞社発行)」とHP「ジオランドぎふ」を参考に、岐阜県美濃地方を歩いています。

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