横ずれ断層痕【美濃地方の露頭79】

水鳥地区から県道255号を北進し、開運橋を渡り、国道157号へ入り、そのまま北進します。

地震断層観察館から4.5kmほど進んだところにある中地区では、根尾谷断層が左横ずれを起こした跡が、畑の境界である茶の木の列により残されています。

中の左横ずれ断層」と呼ばれ、2007年(平成19年)に、国指定の特別天然記念物に追加指定されています。その案内板が国道157号の脇に立っています。

写真の下にある左の●と右の●を合わせるように見ると立体的に見ることができます。

中地区の左横ずれ断層の変位量は最大9.2m平均7.4mで、1891年の地震による変位量としては最大を示すようです。縦ずれの変位は崖として残りやすいですが、横ずれの変位はなかなか残ることはなく、時がたてばわからなくなってしまうことが多いです。

ここでは、畑の境界に植えられている茶の木の列が横ずれ断層の影響で、手前から奥へ向かって左へずれるように屈曲しています。元は直線状に延びていた茶の木の列を横切って断層が左横ずれを起こし、屈曲させて約7mずれたことを示しています。

現在も屈曲が残っているのは、土地所有者の数代にわたる日常的な管理と御好意で120年以上も大切に保存されたおかげだと思います。

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この記事を書いた人

元小中学校の教員(岐阜県美濃地方)。
定年退職し、今までなかなかできなかった川沿いの地質などを見て回っています。
特に、長良川沿い(支流を含めて)、長良川鉄道沿いの地質を広めていきたいと思っています。
「みのひだの地質99選(岐阜新聞社発行)」とHP「ジオランドぎふ」を参考に、岐阜県美濃地方を歩いています。

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