都市で見られる化石【名古屋編その6】ミッドランドスクエア1階

ここまで、名古屋地下街からの出入口、ゲートウォーク、タワーズプラザ12階を紹介してきました。

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いずれも石材はジュラマーブルイエローです。”ジュラ”の名前のとおり、アンモナイト、ベレムナイト、海綿動物などが多く入っています。特別に探そうとしなくても、形などが頭の中に入っていれば、ほんの数分で化石を複数見つけることができると思います。

今回紹介する名古屋駅前のミッドランドスクエアでも1階の床や柱、3階の柱や壁に化石が見られます。

1階の床ではアンモナイト、巻貝、サンゴが、1階と3階の柱ではサンゴが、3階の壁では厚歯二枚貝が見られます。

1階の床は、トルコ産のクレマヌォーバと呼ばれるベージュ色の石材で、中生代白亜紀の石灰岩のようです。クレマヌォーバという石材にはウミユリやサンゴの化石が多数含まれているようです。巻貝、アンモナイトの化石も見られます。

写真はレクサスギャラリー前の床の一部を撮ったものです。

次の写真は赤丸の中(アンモナイト)を近づいて撮ったものです。

アンモナイトが化石として残っているといっても、残っているのは一部で炭酸カルシウムの部分だけです。本体部(軟体部)は現在のイカやタコの体と同じようなものなので、まず残ることはありません。

炭酸カルシウムの部分も、決して残りやすいというわけではありません。炭酸カルシウムはアルカリ性であるため、酸性で中和されると溶けてしまいます。ですから、炭酸カルシウムでできたアンモナイトの殻なども、すべてが残るわけではないのです。たまたま残ったその時期(中生代白亜紀)の生物の殻(遺骸)を見ているのです。

現在、石材の中に多くの化石を見ることができるということは、当時はかなりの量の生物が棲んでいたと考えられます。失うと二度と見ることができない貴重なものを目の前にしていると認識したいです。

人々がそれを石材として切り出し、国をまたいで移動させた結果、現在トルコの地質の一部をつくっている中生代白亜紀の海洋で生きていた生物の化石を見ることができるのです。それを素晴らしい機会だと考えて、興味をもっていただき、地球の歴史を感じていただけるとよいと思っています。

次の写真もレクサスギャラリー近くの床を撮ったもので、巻貝です。

下の写真は、1階の床でサンゴを撮ったものです。

最後の写真は柱の一部を撮ったものです。石材は暗灰色で白い筋が入っているので、フランス産のヘンリー4世という石材のように思いますが、確認はとれてないです。中に入っているのはサンゴだと思います。

写真にスケールを示してありますが、指などを一緒に撮った写真から長さを読み取ったため、正確さはやや欠けます。

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この記事を書いた人

元小中学校の教員(岐阜県美濃地方)。
定年退職し、今までなかなかできなかった川沿いの地質などを見て回っています。
特に、長良川沿い(支流を含めて)、長良川鉄道沿いの地質を広めていきたいと思っています。
「みのひだの地質99選(岐阜新聞社発行)」とHP「ジオランドぎふ」を参考に、岐阜県美濃地方を歩いています。

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