都市で見られる化石【名古屋編その2】地下鉄名古屋駅9番出入口(上り階段)

岐阜県の石にも選ばれているチャート(美濃帯堆積岩類中のチャート)という石は、2億年~1億数千万年ほど前に、深海で堆積した岩石です。

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岐阜県の石:チャート【河原の石ころ4】 陸地からかなり離れた大洋の深海底にたまった微小生物(おもに放散虫という原生動物)の遺骸が、チャートのもとです。それが、海洋プレートの移動により、1億数千万年ほど前に海溝にもたらされ、当時の大陸の縁(現在の日本列島にあたる場所)に付加したのです。

チャートには、肉眼では見えないほど小さな(大きいものは小さな点としてなんとなく見えるのですが)放散虫などの化石が多く入っています。しかし、肉眼でとらえられるほどの大きな化石は入っていないため、なかなか興味をもってもらえない岩石です。

街角で見つかる化石

一般的に化石というと、恐竜の歯、骨やアンモナイトなどが有名です。恐竜やアンモナイトの本物の化石を見るには、博物館へ行って、入場料を払って観るしかないと思われがちです。しかし、観るだけであれば、化石の種類は限られますが(恐竜の化石は無理ですが)、都市のビルなどの壁や床で見ることができます。

2021年秋のことですが、東京駅構内で柱にカニの化石が入っているのを、化石に興味をもっている人が見つけたというニュースがありました。

https://urbanlife.tokyo/post/69252/

カニの化石というのは珍しいですが、名古屋駅の周辺、名古屋栄の中心街にはアンモナイトをはじめとしてベレムナイト、ウミユリ、厚歯二枚貝、サンゴ、有孔虫などの化石が壁や柱、床などに入っているのが確認できます。

今は、SNSでも情報が載っています。もちろん壁や柱、床に傷をつけることはできませんが、昔は生きていて現在は絶滅してしまった生き物の化石を見つけてみるのはいかがでしょうか。

名古屋駅の化石

前回は名古屋駅地下鉄9番出入口下りの壁を紹介しましたが、今回は9番出入口上りの壁を紹介します。石材は下り側と同じで、ドイツ産のジュラマーブルイエローという石材です。

9番出入口の上り階段の壁には、アンモナイトや海綿動物、ベレムナイトなどの化石が見られます。写真は5枚あります。

①海綿動物と小さなアンモナイト

階段の上部の壁を撮った写真です。見かけ上Yの字型の海綿動物と小さなアンモナイト(赤矢印)、ベレムナイト(青矢印)が見られます。小さなアンモナイトは矢印以外にも写っています。

写真①

②〜④アンモナイト・有孔虫の化石

いずれも階段途中のアンモナイトの化石です。②の写真には3個写っています。また、③の写真の上部辺りにもやっと細かく白い点状のものが写っています。これは有孔虫という微生物の化石と思われます。

写真②
写真③
写真④

⑤アンモナイトの化石

階段を上りきるところの手すりの位置です。

写真⑤

写真にスケールを示していますが、スケールは指を一緒に撮った写真から長さを読み取ってつけたものですので、正確さはやや欠けます。

前回は9番出入り口の下り階段を紹介しています。まだの方は合わせてどうぞ。

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都市で見られる化石【名古屋編その1】地下鉄名古屋駅9番出入口(下り階段) 岩石や化石に興味があっても、普通は岩石などが露出している場所まで行かないと見ることができません。しかし、身近で地質の一部が見られるところがあります。都市のビル群や公共施設などの壁などです。石材の中に化石の入ったものが結構あるのです。 気にして見てみれば、普段あまり見ることのない化石を見ることができますし、地球の歴史の一部を読み取ることもできるのです。
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この記事を書いた人

元小中学校の教員(岐阜県美濃地方)。
定年退職し、今までなかなかできなかった川沿いの地質などを見て回っています。
特に、長良川沿い(支流を含めて)、長良川鉄道沿いの地質を広めていきたいと思っています。
「みのひだの地質99選(岐阜新聞社発行)」とHP「ジオランドぎふ」を参考に、岐阜県美濃地方を歩いています。

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