岐阜県の石:チャート【河原の石ころ4】

目次

「チャート」という石

河原に現在見られる石ころは、人類が誕生するはるか…はるか以前に誕生し、地表にあらわれ、そして削られ、川に流され、今ここに見ることができます。

今回紹介するチャートという石は、岐阜県の石に認定されています(日本地質学会が2016年に県の石を認定)。

日本地質学会ホームページ 「県の石」:中部・甲信越

ただ、岐阜市周辺など美濃地方ではどこにでも落ちていて、特に気にとめることはない石でしょう。そのくらい身近な石です。

チャートの誕生は約2億数千万年前のことですので、人類が誕生したと考えられる時(約700万年前)よりはるか昔のことです。

陸地からかなり離れた大洋の深海底にたまった微小生物(おもに放散虫という原生動物)の遺骸が、チャートのもとです。それが、海洋プレートの移動により、1億数千万年ほど前に海溝にもたらされ、当時の大陸の縁(現在の日本列島にあたる場所)に付加したのです。

その後、固結したチャートが地表に露出し、崩れたり削られたりして、破片となったものが川などの水に流され、やっとこの河原にたどり着いたのです。
河原にある石ころには、形成された時期や場所は異なりますが、それぞれに長い道のりがあります。
そのできるまでの道のりが岩石の組織や形などに表れています。

チャートを例にとれば、放散虫は特別な顕微鏡でしか観察することはできません(チャートによっては、0.1mmくらいの点として見えるものがあります)が、二酸化ケイ素(SiO2)の殻が集まってできた石ですから、非常に硬く、風化しにくい岩石です。

また、割れ目が多く入っていて、その方向に割れやすくなっています。割れて直方体のような形になるのですが、硬く風化はしにくいために、角は削られて多少丸くなるものの、他の石ころに比べて全体的に丸くなることがないのです。これが河原で見られるチャートの石ころです。

河原の石は、その上流の地質を反映していますので、同じ川沿いの河原の石の種類はほとんど変わりません。(もちろん、支流が流れ込んで本流の上流にはない種類の岩石が入ることがあったり、河原によって岩石の種類の割合は異なったりすることもあります。)

そのため、この千鳥橋近辺で見られる石は、河原の石ころ1で紹介した美濃市山崎大橋下流左岸の河原と種類はほとんど変わりがありません。
ただし、ここでは山崎大橋下流左岸では見つけられなかった礫岩が見られ、反対に石灰岩は見つけられませんでした。

長良川沿い:岐阜市古津千鳥橋上流右岸の河原

岐阜市の千鳥橋上流で見られる美濃帯堆積岩類(チャート、礫岩、砂岩、泥岩、緑色岩(玄武岩質溶岩等))、奥美濃酸性岩類など(溶結凝灰岩、花崗岩、花崗斑岩)、安山岩を順に紹介します。
石の説明は、河原の石ころ1と同じですが、載せておきます。

チャート

白色・灰色・黒色とそれらが混ざり合ったもの、あずき色、うすい緑色など、さまざまな色があります。

ハンマーなどで割るとゼリーのような半透明感がありますが、硬くてハンマーや釘では傷がつきません。
よくみると表面に小さな傷・へこみがあります。
割れたところは、ガラスの割れ口のように鋭いです。
他の石と比べて、ややかどのある多角形をしているものが多いです。

礫岩

礫(小石、径が2mm以上)が集まってできています。礫と礫の間を砂粒などがうめます。
色は礫や砂などの色によりますが,全体に暗い灰色が多いです。礫の入ったコンクリートと見まちがうので注意が必要です。
礫の大きさや入り方によっては、ゴツゴツしたいびつな形のものもあります。礫の粒が小さいものでは、丸みのある石となります。

砂岩

灰色から暗い灰色のものが多く、風化してオレンジ色がかるものもあります。よくみると砂の粒がわかり、ざらざらしている場合があります。
黒色の小破片(泥岩)が入ることがあります。砂の粒が並んで、縞模様になることもあります。ただし、熱変成作用などを受けると、砂の粒がわかりにくくなり、ざらざら感もなくなります。
かどのとれた箱型から丸い形が多いです。

泥岩

泥が集まってできた岩石のため、灰色から黒色、つやのない黒色がほとんどで、粒が小さく、よく見ても石をつくる粒は見えません。
灰色の細かな縞模様が見られることがあります。
細長い楕円形や扁平なものが多いです。
また、表面に割れ口がいくつもみられる場合が多いです。

緑色岩(玄武岩質溶岩など)

緑色、暗い緑色、黄緑色で、あずき色がかることがあります。
よく見ても結晶の粒は見えないことが多いですが、結晶の粒が大きい場合、光に反射させると細かくキラキラ光るものもあります。
表面に幅のせまい割れ目やへこみのあることがあります。
また、いびつな形がふつうで、かどがとれて丸みがあります。
二酸化ケイ素(SiO)の少ないマグマが海底に噴出した玄武岩類ですが、圧力や熱、熱水などにより変質作用を受けています。
変質作用でできた鉱物の多くは緑色なので、全体に緑っぽい色の岩石となります。

溶結凝灰岩

緑がかった灰色のものがよく見られますが、
白っぽいもの、茶色っぽいもの、黒っぽいものなどいろいろな色のものがあります。
2~5㎜の小さい斑晶(鉱物の結晶)がたくさん見られますが、見かけでは三角形などの破片状になっていることが多いです。
見慣れていないと判断しにくい岩石ですが、長さ数cm、幅1cm以下の緑っぽいレンズ状のものが見られる場合は、この岩石であることがはっきりわかります。
このレンズ状のものは、火砕流に含まれている軽石が圧縮されてできたものです。
また、他の岩石の破片を含んでいるものもあります。かどのとれた箱型から楕円形のものが多いです。

花崗岩

表面はなめらかに見えますが、触ってみると少しざらざらします。
わかめご飯のおにぎりのように黒い粒と白い粒、うすピンク色の粒が、同じような大きさで入っています(等粒状組織)。
入っている鉱物は、石英、長石(斜長石、カリ長石)、黒雲母などです。
黒い粒(黒雲母)のところが浅くくぼんでいる場合があります。丸っこい形のものが多いです。

花崗斑岩

無色透明~灰色っぽく見える石英、白~うすいピンク色の長石(斜長石、カリ長石)、黒っぽい緑色の黒雲母などが、岩石の中に斑点状に入り(斑状組織)、くっきり見えます。
かどのとれた箱型から楕円形のものが多いです。
石英の粒が斑点状に入り、他の鉱物は目立たない岩石もあり、石英斑岩とよびます。

安山岩

暗い灰色のものが多いですが、白っぽいものもあります。
白色と黒っぽい緑色をしたやや大きい斑点状の結晶(斑晶)がわかるものが多いです。
白色の鉱物が長石(斜長石)で、黒っぽい緑色の鉱物が角閃石や輝石です。
ただし、斑晶があまりはっきりしないものも見られ、砂岩と見まちがえる場合があります。
丸っこい形のものが多いです。

注記

ここでは、岩石を肉眼で判断していますが、本来は岩石を薄くけずって、光が通過するようにして顕微鏡(偏光顕微鏡)などで観察し判断するのです。
そのため、間違って岩石名が書かれてある場合があるかもしれませんが、その場合はお許しください。

よかったらシェアしてください!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

元小中学校の教員(岐阜県美濃地方)。
定年退職し、今までなかなかできなかった川沿いの地質などを見て回っています。
特に、長良川沿い(支流を含めて)、長良川鉄道沿いの地質を広めていきたいと思っています。
「みのひだの地質99選(岐阜新聞社発行)」とHP「ジオランドぎふ」を参考に、岐阜県美濃地方を歩いています。

目次