長良川鉄道(美濃駅~北濃駅)沿いの地質

長良川鉄道(越美南線)は、路線総延長が72.1kmで、そのうちの約50km(湯の洞口駅~北濃駅)が長良川に沿って走っています。

その50kmほどは、地質でいうと、美濃帯堆積岩類白鳥流紋岩の中を走っており、車窓から見える景色は自然あふれる眺めです。

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全体像

各駅と、所要時間は以下のとおりです。(時間は美濃市駅基準(駅の時間は時刻表参考))

番号〇は、車窓から見える露頭を示しています。ページ下部で個別に紹介しています。

美濃帯堆積岩類

美濃駅から白鳥駅にかけて見られる長良川沿いの岩や山肌に見られる岩は、すべて美濃帯堆積岩類です。

岩石名で言うと、チャート砂岩泥岩玄武岩質溶岩(緑色岩)、石灰岩などです。

チャートは、陸地からの砂や泥が運ばれないような(届かないような)深海底で、放散虫などガラス質の殻をもった生き物の遺骸などが堆積して固まった岩石です。
砂岩や泥岩は、陸地から運ばれた砂粒や泥の粒子が堆積して固まった岩石です。

玄武岩質溶岩は、火山島などの火山から噴出したマグマが冷え固まった岩石です。変質をしていて、緑っぽい色をしているため緑色岩とも呼ばれます。

石灰岩は、主に炭酸カルシウム成分からなる海の生物が海底に積もってできた岩石で、昔のサンゴ礁などが岩石になったものと考えてください。

美濃帯堆積岩類のでき方:付加体堆積物

いわば、美濃帯堆積岩類は、に堆積したり、海でできたりした岩石が混在したものです。そのような岩石が岐阜県の美濃地方には広く分布しているので、「このあたりは昔海だった」と言われることもありますが、昔海だったというよりは、海でできたものが日本列島の元になっているところにくっついて陸地が広くなったという方が正しい表現です。

海洋プレートの上に載ったチャート、砂岩、泥岩、玄武岩質溶岩(緑色岩)、石灰岩などが、水平方向に移動し、陸地の縁にくっついた(付加した)ものです。そのため、付加体堆積物という言い方をします。

イメージでいくと、エスカレーターの上に載った荷物が他の階に運ばれ、次々と運ばれるため、その階に着くと止まり、後から来たものと混ざりながらたまっていくという感じです。

実際には、深海に堆積したチャートの隣に、陸地近くの海で堆積した砂岩があったり、海中で噴出した玄武岩溶岩がはさまっていたり、サンゴ礁でできた生き物の殻が多く含まれる石灰岩がはさまっていたりするのです。
そのため、多くの方がイメージする積み重なって縞模様をしているという地層の様相をなしていません。

つまり、美濃帯堆積岩類は、現状の堆積状況からすると、地層の原則である地層累重の法則が成り立っていません。

もちろん、堆積したときは下から上へ堆積していますが(地層累重の法則が成り立っていますが)、それが大陸の縁(現在の日本列島)に付加することによって、混在して、違う年代のものが隣同士に分布したり、新しい地層が下に入り込んだりするのです。

特徴的な岩:メランジュ

付加体堆積物である美濃帯堆積岩類の特徴として存在するのがメランジュです。フランス語のメレンゲと語源は近いとのことで、混ざった状態をさしているようです。

海洋のプレートの上に堆積したものが、陸側のプレートの下にもぐり込む際、はぎ取られ混ざり合いながら陸側のプレートにくっついていく場合の特徴的な岩体です。
黒っぽい泥岩の中に、大小のチャートや砂岩などがレンズ状やブロック状に入っているのです。そのメランジュが露頭規模でもよく見られます。美濃帯堆積岩類のような付加体堆積物には多く見られます。

各露頭の紹介

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この記事を書いた人

元小中学校の教員(岐阜県美濃地方)。
定年退職し、今までなかなかできなかった川沿いの地質などを見て回っています。
特に、長良川沿い(支流を含めて)、長良川鉄道沿いの地質を広めていきたいと思っています。
「みのひだの地質99選(岐阜新聞社発行)」とHP「ジオランドぎふ」を参考に、岐阜県美濃地方を歩いています。

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