津保川沿いでも長良川沿い・板取川沿いと同様に、花崗斑岩などの貫入岩が露出しています。
長良川やその支流で見られる花崗斑岩は、美濃帯堆積岩類が大陸に付加した後に、濃飛流紋岩(長良川の東側に広く分布)や奥美濃酸性岩類(西側に分布)に関連したマグマの一部が貫入し、冷え固まった岩石です。
また、長良川沿いの花崗斑岩その2で紹介しましたが、貫入された岩石(泥岩)との接触部付近では花崗斑岩の斑晶(鉱物の粒)は細く、接触部から少し離れている花崗斑岩の斑晶は大きいという様子が見られます。
このような他の岩石との接触部付近で斑晶が細かい部分を急冷周縁相と呼びます。急冷周縁相では、接触部から少し離れたところのような1cm以上ある長石の斑晶は一切見られません。
それは以下のような理由です。
冷え固まる前の花崗斑岩は、液体状で流れて移動しています。泥岩との接触部では低温と摩擦のため低速になりますが、接触部から離れているところは高速のままです。そうすると、大きな結晶は高速な方に引っ張られて移動するのです(これをバクノルド効果といいます)。
県道58号関金山線で西神野郵便局を越え、しばらく北進すると、神野交差点があります。さらに900mほど進むと左側に自動車整備工場がありますが、その先の右側にある橋を右折して渡ります。渡ってすぐ右折すると、約40mほどで右側に空き地があります。川へ下りる細い道をたどると、黒っぽい泥岩と白っぽい花崗斑岩が津保川左岸に露出しています。また、対岸にも花崗斑岩が露出しています。
写真が4種類ありますが、上の写真は花崗斑岩を少し離れて南から撮ったもので、下の写真は近づいて撮ったものです。
次の写真は花崗斑岩を接写したもので、写真の縦は5cmです。
最後の写真は泥岩と花崗斑岩との接触部を撮ったもので、左側が泥岩で、右側のスケールがある方が花崗斑岩です。スケールは20cmです。同じような写真が並んでいますが、写真の下にある●を重なり合わせるように見ると立体的に見えます。