雨で削られた跡:カレン【長良川本流沿い露頭編29】

今回紹介するのは、以前紹介した長良川沿いの石灰岩その2と同じ露頭です。昨年は河原の石に埋まっていて露頭が見えなかったのですが、現在は河原の石が移動したために石灰岩が露出しています。

写真は河原に露出している石灰岩を北西から撮ったものです。

美濃帯堆積岩類の中の石灰岩は、大昔のサンゴ礁が海洋プレートによって運ばれ、大陸の縁(現在の日本列島)に付加したものです。

石灰岩は主に炭酸カルシウムからなっているため、酸性の水溶液に溶けます。雨水によっても徐々に溶けてしまいます。

そのため、石灰岩が露出しているところでは、石灰岩が溶けて独特の地形が作られることが多いです。

下の写真には上の写真の左側を近づいて撮ったものです。石灰岩の表面に上下方向の溝状のものが見られますが、これは雨水などによって溶けた跡です。カレンと呼ばれます。

同じような写真が並んでいますが、それぞれの写真の白丸を、左の写真は左目で、右の写真は右目で見て、重ね合わせるようにすると立体的に見ることができます。

地質図はこちらです。(地質図はジオランドぎふより。岐阜県博物館提供)
露頭のある地点(×地点)はそら色(Mlm)で、おもに石灰岩からなる地層です。緑色(Mbs)の中に小規模に分布しています。緑色はおもに緑色岩(玄武岩質火山岩類)からなる地層です。

下の写真は石灰岩を接写したものです。中央上にフズリナが写っています。

フズリナは、紡錘虫とも呼ばれる有孔虫の一種です。古生代の約1億年の間に栄え絶滅したため、示準化石(地層が堆積した時代の推定に役立つ化石)としても有名です。 

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この記事を書いた人

元小中学校の教員(岐阜県美濃地方)。
定年退職し、今までなかなかできなかった川沿いの地質などを見て回っています。
特に、長良川沿い(支流を含めて)、長良川鉄道沿いの地質を広めていきたいと思っています。
「みのひだの地質99選(岐阜新聞社発行)」とHP「ジオランドぎふ」を参考に、岐阜県美濃地方を歩いています。

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