砂岩層中の花崗斑岩【長良川本流沿い露頭編27】

美濃市須原と下河和に架かる洲原橋周辺には、美濃帯堆積岩類の砂岩層が分布していますが、砂岩層に花崗斑岩が貫入している(入り込んでいる)場所もあります。

花崗斑岩は、花崗岩をつくるマグマが高温の液体の状態で他の岩石に入り込み、冷え固まった岩石です。

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長良川の水位が高い時は行くことが難しいですが、水位が低い時は洲原神社から右岸沿いに歩くと洲原橋から北へ200mほどの河床に露頭があり、灰色の砂岩層中に表面は淡褐色をした花崗斑岩が入り込んでいます。

割った面を見たり、淡褐色になっていないところを見たりすると、花崗斑岩は淡青灰色で1mm~2mm径の石英や1mm以下~数mm径の長石が入っているのがわかります。花崗斑岩の幅は60cm~140cmで、北北西-南南東に10m以上確認することができます。

中央部に縦に淡褐色のものがありますが、それが花崗斑岩です。

下の写真は上の写真に写っているハンマーの位置付近を近づいて撮ったもので、右側が砂岩で、左側が花崗斑岩です。

対岸を眺めると岩石が露出していますが、ほとんどは砂岩層です。水面下ではありますが、淡褐色の花崗斑岩が砂岩層に貫入しているのがわかる場所もあります。花崗斑岩の表面が淡褐色で内部と色が違うのは、花崗斑岩の鉄分が酸化して(錆びて)色がついているためだと考えられます。

地質図では、この露頭(×地点)は黄色(Mss)の中にあり、おもに砂岩からなる地層です。地質図には、花崗斑岩は表現されていません。地質図(5万分の1の縮尺の地質図)では小さくて表現できないためです。×地点のすぐ北には緑色(Mbs)が分布しますが、次回紹介します。(地質図はジオランドぎふより。岐阜県博物館提供)

下の写真は花崗斑岩を接写したもので、写真の縦は2.5cmです。スケールとして置いてあるハンマーの長さは約28cmです。

こちらでも貫入岩を紹介しています。

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前回の記事はこちら。

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この記事を書いた人

元小中学校の教員(岐阜県美濃地方)。
定年退職し、今までなかなかできなかった川沿いの地質などを見て回っています。
特に、長良川沿い(支流を含めて)、長良川鉄道沿いの地質を広めていきたいと思っています。
「みのひだの地質99選(岐阜新聞社発行)」とHP「ジオランドぎふ」を参考に、岐阜県美濃地方を歩いています。

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