長良川沿いのチャートその3、長良川鉄道の車窓からみた岩石その13で紹介した、長良川沿いの赤色層状チャートと貫入岩の露頭を再度紹介します。
国道156号を北進し、八幡町吉野に歩道橋(「八幡町吉野」と書かれてあります)がありますが、そこを越えて200m強で吉野トンネル、吉野洞門を連続して通ります。通過して100mほど進むと、長良川対岸に赤っぽい部分がある岩が露出しているのが見えます。その露頭への行き方としては、法伝橋(青い橋)を渡り、国道256号線から県道61号線に入り、200mほど南東に進んだところの民家と民家の間の細い道を通ると、徒歩で河原へ下りることができます。長良川鉄道の亀尾島川に架かる鉄橋の下にあたります。
チャートは、深海底で放散虫などの微生物の遺骸が堆積したものであり、まるで堆積した当時の海水の状態を記録しているようです。
チャートにはいろいろな色のものがありますが、その色は含まれている微量成分によってつくのです。赤色(えんじ色)は酸化鉄(Fe2O3)によるもので、堆積当時の海水は酸素が豊富で酸化的環境であったことを示すと考えられています。
ここの赤色層状チャートは、おもに2cm~4cmの厚さの赤色チャート層の間に、2mmほどの薄い泥岩層をはさんでいます。チャートの厚いところは10cmほどのところもあります。
この露頭では、チャートに入り込んでいる貫入岩も見ることができます。貫入岩は、暗青灰色をしていて、斑晶は1mm以下で、斜長石が確認できるくらいです。
下の写真で赤黒っぽく見えるのが赤色チャートで、暗灰色に見えるのが貫入岩です。ここで見える貫入岩は幅が2.5mほどです。真中の写真は中上の写真の露頭に上がって東から撮ったもので、ハンマーの左右に貫入岩が入っています。貫入岩の幅は18cm~23cmです。
同じような写真が二枚並んでいますが、それぞれの写真の白丸を、左の写真は左目で、右の写真は右目で見て、重ね合わせるようにすると立体的に見ることができます。
こちらでもチャートの様々な色を紹介しています。
地質図において、赤色層状チャートと貫入岩の露頭(×地点)はオレンジ色(Mch)の中にあることがわかります。オレンジ色はおもにチャートからなる地層です。(地質図はHP「ジオランドぎふ」より 岐阜県博物館提供)