板取川やその支流沿いに分布する火山岩類は奥美濃酸性岩類と呼ばれます。(板取川シリーズはこちらから。)
奥美濃酸性岩類は、北西~南東に延びた巨大な岩体(岐阜県の約1/4の面積を占める)をなす濃飛流紋岩の西側にありますが、濃飛流紋岩よりも1500万年ほど若い時期に形成された岩体です。
ただし、濃飛流紋岩のように1つの巨大な岩体をつくっているわけではなく、美濃市北部、関市洞戸~板取、郡上市八幡町西部などの山頂や尾根上などの標高の高いところに点在するように分布します。
もとは大きな岩体であったと考えられますが、長い間に多くが浸食され削られてしまったことで、岩体の比較的深部だけが残されて、現在は7つの岩体に分かれて分布しています。
奥美濃酸性岩の7つの岩体の一つである洞戸岩体の一部が、板取川支流の片知川沿いに見られますので、紹介します。写真は南から撮ったものです。
美濃市から関市洞戸に向かう県道81号美濃洞戸線で美濃市長瀬の集落を越ししばらく進むと、板取川の支流である片知川を渡ります。渡ってすぐ右折し、片知川の上流に向かってしばらく車を走らせます。片知の集落を越えて、右折したところから7.2kmのところに左に川へ下りる細い道がありますので、近くに車を止め徒歩で川へ下ります。
以前はその場所に「千畳岩入口」の表示板がありましたが、現在はありません。
川へ下りると、岩場が連続していますが、奥美濃酸性岩類の洞戸岩体です。岩石名としては、溶結凝灰岩です。
大規模な火山活動で噴出した大量の火山灰が、自らの重みと熱のために互いにくっつき合ってできた岩石です。溶結凝灰岩には、長石や石英、黒雲母などの鉱物の他に、つぶれて扁平になった軽石(本質レンズと呼ぶ)や、噴出時に取り込まれた美濃帯堆積岩類の砂岩や泥岩の破片(異質岩片と呼ぶ)が混じっています。
下の写真は、溶結凝灰岩を接写したものです。