長良川本流沿いには、表層を覆っている第四紀堆積物の他に、
広い範囲に美濃帯堆積岩類が、北部には白鳥流紋岩と呼ばれる火山岩類が分布します。
(白鳥流紋岩についてはこちらのシリーズをどうぞ)
また、最上流部には大日ヶ岳等を構成する火山岩類が分布しています。
長良川の支流である板取川沿いには、
長良川と同じように美濃帯堆積岩類と火山岩類が広く分布します。
板取川沿いの岩石について何回かにわたって下流から順に紹介します。
美濃市から関市洞戸に向かう県道81号美濃洞戸線は板取川左岸沿いを通っています。
美濃市長瀬の集落を越したところに板取川にかかる穴洞橋があります。
その橋を西に渡り、右折します。道は穴洞の集落を越えるとやや狭くなりますが、
400mほど北進すると、切り通し道があります。
すぐ脇に車を止め、川へ下りる道を下ります。
板取川右岸に岩石が露出していますが、チャート層です。
美濃帯堆積岩類の中のチャート層は、以前にも紹介しましたが、
古生代のペルム紀(2億9000万年~2億4500万年前)から中生代のジュラ紀(2億800万年~1億4600万年前)の時期に、砂や泥が流れ込まないような深海底に堆積したものです。
径が1mmより小さい放散虫などの生物の遺骸等が、
1000年に数mmといわれるほどゆっくり堆積して形成された地層です。
ここのチャート層は、淡灰色で、南東に20°ほど傾いた面を作っていて、
それが層理面だと思われます。また、甌穴が見られます。
写真が二種類ありますが、上は南から撮ったもの、下は甌穴を南西より撮ったものです。
右側の甌穴は3.0m径で、左側の甌穴は1.4m径です。
それぞれの写真の下の●を、左の写真は左目で、右の写真は右目で見て、
重ね合わせるようにすると立体的に見えます。