郡上八幡町五町に架かっている報徳橋から北へ向かって、県道61号(右岸沿い)を600mほど進むと、長良川沿いに郡上漁業協同組合遊漁証取扱所があります。その対岸に白っぽい岩石が露出しているのが見えます。
写真は石英斑岩を南からパノラマで撮ったものです。
その露頭に近づくには、報徳橋まで戻って近くに車を止めて、五町にある公園(遊具あり)の西を北へ進み、河原へ下り、上流に向かって進みます。
露頭は石英斑岩で、東西に10mほど、南北に7mほどが露出しています。
同じような写真が二枚並んでいますが、写真の下部にある白丸を、左の写真は左目で、右の写真は右目で見て、重ね合わせるようにすると立体的に見ることができます。
ここで見られる石英斑岩は、淡緑灰色~淡褐灰色をしていて、1mm前後の石英とカリ長石が点在しています。
下の写真は上の写真の中央部を撮ったものです。スケールとして置いてあるハンマーの長さは約28cmです。
下の写真は石英斑岩の割った面を接写したもので、写真の縦は2.5cmです。
また、1cm~5cm径の捕獲岩(ゼノリス)が点在している部分があります。捕獲岩は砂岩や泥岩だと思われます。
捕獲岩(ゼノリス)は、火成岩に含まれる異種の岩石片のことです。マグマが上昇してくる途中で周囲の岩石から取り込まれるため、マグマの熱によって変成している場合が多いです。捕獲岩をよく観察することで、マグマが上がってきた地下を知る手がかりになります。
下の写真は、上の写真に写っているハンマーの左少し離れたところを撮ったもので、スケールの右側に2~3cm径の捕獲岩(ゼノリス)が2個写っています。写っているスケールの長さは19cmです。
地質図において、この石英斑岩の露頭がある×地点は、黄色(Mss)である砂岩の中にあります。(地質図はHP「ジオランドぎふ」より 岐阜県博物館提供)
石英斑岩は小規模であるため地質図には表現されていないようです。しかし、×地点の北や南には濃いピンク色(Okg)が分布しています。濃いピンク色は奥美濃酸性岩類の岩脈で、美濃帯堆積岩類に貫入している岩石です。この露頭の石英斑岩も同じ貫入している岩石(奥美濃酸性岩類の岩脈)だと思われます。