前回の長良川本流沿い露頭編その111で紹介したチャートと玄武岩が混在している露頭の北東15mほどところに、赤色(えんじ色)や緑色に近い色をした層状チャートの露頭があります。
チャート層は、深海底で珪酸質(ガラス質)の殻をもった放散虫などの生物の遺骸がゆっくりと堆積したものです。そのため、チャート層は堆積した当時の海水の状態を記録しています。
チャートにはさまざまな色のものがあります。赤色(えんじ色)、褐色、緑色、淡緑灰色、淡青灰色、暗青灰色、白色、灰色、黒色などです。
チャートは基本的にはSiO2でできていますが、含まれている微量成分によって色がつくのです。
赤色(えんじ色)は酸化鉄(Fe2O3)によるもので、堆積当時の海水は酸素が豊富で酸化的環境であったことを示すと考えられています。
黒色や緑色をしていれば逆に酸欠状態の還元的環境だったことを示します。
ここの層状チャートは、ほぼ南北(走向)を軸として垂直近く(傾斜)に立った状態で露出しています。
赤色層状チャートは数cm~15cmの厚さで、間にえんじ色の5mm~2cmの厚さの泥岩層を挟んでいます。緑色に近い層状チャートは淡緑灰色~緑灰色をしていて、厚さが数cm~10cmのチャートの間に、淡緑灰色をした数mm~1cmの厚さの泥岩層を挟んでいます。
また、赤色層状チャートと緑色に近い層状チャートの間には、数cm~17cm幅の淡緑灰色の泥岩と思われるものが入り込んでいます。赤色のチャートと緑色に近いチャートが繰り返して堆積している部分もあります。
ハンマーの首部辺りに縦に延びて写っているのが、淡緑灰色の泥岩と思われるものです。
地質図において、この層状チャートの露頭(×地点)は、緑色(Mbs)の中のオレンジ色(Mch)の中にあります。緑色はおもに玄武岩質火山岩からなる地層で、オレンジ色はおもにチャートからなる地層です。(地質図はHP「ジオランドぎふ」より 岐阜県博物館提供)
下の写真は、上の写真の露頭に上り、北から撮ったものです。スケールとして置いてあるハンマーの長さは約28cmです。