前回の長良川本流沿い露頭編その57で紹介した層状チャート中の漣痕の露頭から上流(北東)へ15mほどのところに、黒色の層状チャートが見られます。
数cm~5cmの厚さの黒色チャート層(珪質の泥岩層かも?)の間に、灰色をした1mm~数mmの厚さの泥岩層をはさんでいます。黒色チャートはややブロック化しています。
チャートには、白色、灰色、黒色、赤褐色、うすい緑色などがありますが、この色の変化は、チャートが堆積した海洋環境の変化を表していると考えられています。特に、暗灰色や黒色のチャートは還元状態で堆積し、硫化鉄(主に黄鉄鉱)や炭素化合物などの酸素の乏しい場所でできた物質を含んでいるようです。そのため、黒っぽいチャートが堆積したときは海洋中に酸素が少なかったと考えられています。
下の写真は、同じ露頭を北東から撮ったものです。
地質図において、オレンジ色はおもにチャートからなる地層です。×地点が、黒色の層状チャートが見られる露頭です。(地質図はジオランドぎふより。岐阜県博物館提供)
スケールとして置いてあるハンマーの長さは約28cmです。
こちらでは様々な色をした層状チャートを紹介しています。
前回の記事はこちら。
美並町木尾右岸の層状チャート中の漣痕【長良川本流沿い露頭編57】
ここの露頭では層理面は水平に近いのですが、階段状になっていて、異なる層理面が何枚か見られる状態です。そのため、1枚の層理面における漣痕が見られるわけではなく、少しずつですが複数の層理面の漣痕が見られます。層状チャートは、淡青灰色~灰色をした数cm~10cm厚のチャート層に、灰色をした5mm~1cm厚の泥岩層がはさまれています。