揖斐川流域の石ころ【河原の石ころ3】

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揖斐川流域の石ころ

揖斐川流域にはおもに美濃帯堆積岩類、花崗岩類(貝月山花崗岩、能郷白山花崗閃緑岩)が分布しますので、これらに由来する岩石が下流に運ばれています。

また美濃帯堆積岩類の中には、花崗岩類による熱変成作用でできたホルンフェルスも含まれています。
これらのほかに、福井県境に新第三紀の安山岩類が分布します。

また、花崗斑岩や安山岩などの貫入岩も分布しています。

揖斐川沿い:揖斐郡揖斐川町島三町大橋上流左岸の河原

それぞれの石の特徴と写真を載せます。
美濃帯堆積岩類(チャート、礫岩、砂岩、泥岩、石灰岩、緑色岩(玄武岩質溶岩等))、花崗岩類(花崗岩、花崗閃緑岩、花崗斑岩)、安山岩、熱変成作用でできたホルンフェルスの順に紹介します。

チャート

白色・灰色・黒色とそれらが混ざり合ったもの、あずき色、うすい緑色など、さまざまな色があります。

ハンマーなどで割るとゼリーのような半透明感がありますが、硬くてハンマーや釘では傷がつきません。よくみると表面に小さな傷・へこみがあります。割れたところは、ガラスの割れ口のように鋭いです。

他の石と比べて、ややかどのある多角形をしているものが多いです。

礫岩

礫(小石、径が2mm以上)が集まってできています。礫と礫の間を砂粒などが埋めています。

色は礫や砂などの色によりますが、全体に暗い灰色が多いです。礫の入ったコンクリートと見まちがうので注意が必要です。

礫の大きさや入り方によっては、ゴツゴツしたいびつな形のものもあります。礫の粒が小さいものでは、丸みのある石となります。

砂岩

灰色から暗い灰色のものが多く、風化してオレンジ色がかるものもあります。

よくみると砂の粒がわかり、ざらざらしている場合があります。黒色の小破片(泥岩)が入ることがあります。砂の粒が並んで、縞模様になっていることもあります。

ただし、熱変成作用などを受けると、砂の粒がわかりにくくなり、ざらざら感もなくなります。
かどのとれた箱型から丸い形が多いです。

泥岩

泥が集まってできた岩石のため、灰色から黒色、つやのない黒色がほとんどで、粒が小さく、よく見ても石をつくる粒は見えません。

灰色の細かな縞模様が見られることがあります。細長い楕円形や扁平なものが多いです。
表面に割れ口がいくつもみられる場合が多いです。

石灰岩

白色から灰色で、表面がなめらかなものが多いです。表面の傷が白く、粉っぽく見えます。

他の岩石と比べるとやわらかく、ハンマーやくぎで簡単に傷がつきます。
風化した表面をよく見ると、フズリナなどの化石が浮き上がって見えることがあります。
一般的には、削られやすいため扁平で丸いです。

ただし、ここでは分布地が割合近いということもあり、やや大きいものや、やや角ばっているものもあります。

また、写真の下の段の右は石灰岩が角礫となり、それがくっついてできた石灰質角礫岩です。

緑色岩(玄武岩質溶岩など)

緑色、暗い緑色、黄緑色で、あずき色がかることがあります。

よく見ても結晶の粒は見えないことが多いですが、結晶の粒が大きい場合、光に反射させると細かくキラキラ光るものもあります。

表面に幅のせまい割れ目やへこみのあることがあります。いびつな形がふつうです。かどがとれて丸みがあります。

海底などで噴出した玄武岩類で、圧力や熱、熱水などにより変質作用を受けていて、変質作用でできた鉱物の多くは緑色です。そのため、全体に緑っぽい色の石となります。

花崗岩

表面はなめらかに見えますが、触ってみると少しざらざらします。

黒い粒と白い粒が、同じような大きさで入っています(等粒状組織といいます)。入っている鉱物は石英、長石、黒雲母などです。黒い粒(黒雲母)のところが浅くくぼんでいるものがあります。

丸っこい形のものが多いです。

花崗斑岩

無色透明~灰白色の石英、白色の長石、緑黒色の黒雲母などが岩石の中に斑点状に入り(斑状組織といいます)、くっきり見えます。

花こう岩に似ていますが、大型の長石類が斑点状に入る点で異なります。

かどのとれた箱型から楕円形のものが多いです。ここでは数は少ないです。

安山岩

暗い灰色のものが多いですが、白っぽいものもあります。

白色と緑黒色をしたやや大きい斑点状の結晶(斑晶)がわかるものが多いです。白色の鉱物が長石で、緑黒色の鉱物が角閃石や輝石です。

斑晶があまりはっきりとしないものもみられ、砂岩と見まちがえる場合があります。
一般的には丸っこい形のものが多いですが、ここでは、かどのとれた箱型のものがあります。

ホルンフェルス

泥岩や砂岩などが高い熱によって変成してできた岩石です。

表面はもとの岩石の色を基本にしてさまざまな色を示しますが、紫色っぽく(わずかに赤味を帯びて)見えることが多いです。これは、熱変成作用によって、黒雲母などの細かい鉱物が生成されているためです。

硬く、割れ口は角ばっていることが多いです。
また、岩石の表面に灰色をした数mm径の結晶が見えるものがありますが、熱変成作用で新たな鉱物が結晶化したものです。

ハンマーでたたいたり、岩石同士をぶつけたりすると、金属音を出すことがあります。丸っこいですが、多角形のものが多いです。

注記

ここでは、岩石を肉眼で判断していますが、本来は岩石を薄くけずって、光が通過するようにして顕微鏡(偏光顕微鏡)などで観察し判断するのです。

そのため、間違って岩石名が書かれてある場合があるかもしれませんが、その場合はお許しください。

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この記事を書いた人

元小中学校の教員(岐阜県美濃地方)。
定年退職し、今までなかなかできなかった川沿いの地質などを見て回っています。
特に、長良川沿い(支流を含めて)、長良川鉄道沿いの地質を広めていきたいと思っています。
「みのひだの地質99選(岐阜新聞社発行)」とHP「ジオランドぎふ」を参考に、岐阜県美濃地方を歩いています。

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