長良川本流沿い露頭編その10、長良川本流沿い露頭編その22でチャート層中にドロストーンをはさむ露頭やチャートとドロストーンが互層になった露頭を紹介しました。
八幡町浅柄の北やその対岸にもチャート層中にドロストーンをはさむ露頭がありますので、今回と次回で紹介します。
写真はドロストーンをはさむ層状チャートの露頭を南からパノラマで撮ったものです。
ドロストーン(苦灰岩)は、ドロマイト(苦灰石:(CaMg(CO3)2))からなる岩石です。
石灰岩を構成しているCaCO3中のカルシウム分が、海水中でマグネシウムに置き換わったものと考えられています。ドロマイトに置き換わる前の石灰岩の形成は、浅い海でしか起こりません。深い海だと溶けてしまうため、形成されないのです。
一方、チャートは深い海で形成します。つまり、チャートと石灰岩は形成条件がまったく違うのです。そのため、チャートとドロストーン、チャートと石灰岩が互層しているように見える産状の形成過程は正確にはわかっていないようです。
ここの露頭では、層状チャートの中に淡褐灰色のドロストーンが数cm~数10cmの幅でところどころに入っているのが確認できます。層状チャートは、淡青灰色~淡緑灰色をした数cm~10cmの厚さのチャート層の間に、灰色をした数mm~1cmの厚さの泥岩層がはさまっています。
地質図において、この露頭がある×地点は緑色(Mbs)の中にあり、緑色はおもに玄武岩質火山岩類(緑色岩)からなる地層です。この露頭は、東西に10m弱、南北に40mほど、高さ5mほどありますが、地質図の縮尺(5万分の1)で表すと、0.2mm×0.8mmですから地質図には表現されていないようです。(地質図はHP「ジオランドぎふ」より 岐阜県博物館提供)
下の写真は上の写真に写っているハンマー頭部の右少し離れたところを近づいて撮ったものです。淡褐灰色をしているのがドロストーンで、灰色がチャートです。黒っぽいのはチャートの表面についているコケ類です。スケールとして置いてあるハンマー、黄色の定規の長さはそれぞれ約28cm、約20cmです。
同じような写真が二枚並んでいるものは、写真の下部にある●を、左の写真は左目で、右の写真は右目で見て、重ね合わせるようにすると立体的に見ることができます。