今回は、美並町母野の長良川左岸にある甌穴について紹介します。
県道324号白山美濃線で美濃市から郡上市美並町へ向かい、美濃市と美並町の境界を過ぎてしばらくすると、左側に白石橋に至る道路があります。そのまま324号を北東へ400mほど進むと道路脇にスペースがあります。車を停めて、50mほど戻って道路から川の方を望むと岩石が露出しています。
露出している岩石はチャートですが、上の写真のように遠くに甌穴が見えます。
下りられるところを探し、見えていた甌穴に近づくと、その甌穴の南5mほどのところに深さが2m以上もある甌穴があります。
同じような写真が二枚並んでいますが、それぞれの写真の黒丸または白丸を、左の写真は左目で、右の写真は右目で見て、重ね合わせるようにすると立体的に見ることができます。
甌穴(ポットホールとも言います)は、上流から運ばれてきた岩石が岩盤の表面にある割れ目などに引っかかり、強い水の流れの中でその岩石が回転し、ドリルのように岩盤に穴をあけてできます。
チャートのような硬い岩盤にはできにくいように思われるかもしれませんが、一度削られると保存されるのです。一方、硬くない岩盤の場合は穴ができても周りがくずれてしまうため、穴が残りません。
甌穴は河床の岩盤が硬く(チャートでなくても)、激しい水の流れがあるところであれば見られます。
写真は、上の写真の矢印の甌穴を近づいて南から撮ったものです。甌穴の長径は85cm、短径は80cmで、深さは40cmですが、掘り込まれているチャートの上部から測ると深さは160cmあります。
下の写真は、上の写真の甌穴から南へ5mほどのところにある甌穴を西から撮ったものです。この甌穴はほぼ円形で直径は90cm、深さは240cmほどあります。穴の底にある礫(岩石)は確認した限り4つでした。
下の写真は、同じ甌穴を少し近づいて西から撮ったものです。この甌穴は、中上の写真でも下方にある●のすぐ上に写っています。スケールとして置いてあるハンマー、メジャーの長さはそれぞれ約28cm、1mです。
地質図において、甌穴が見られる×地点はオレンジ色(Mch)の中にあって、オレンジ色はおもにチャートからなる地層です。南には黄色(Mss)のおもに砂岩からなる地層が、北にはそら色(Msi)の珪質泥岩からなる地層が分布しています。(地質図はジオランドぎふより。岐阜県博物館提供)
こちらでは飛騨川沿いの甌穴を紹介しています。
前回の記事はこちら。