美濃帯堆積岩類が分布する長良川沿いには、黒色をした泥岩の中に砂岩やチャートなどの大小さまざまな岩塊が入った礫岩のような岩石がところどころで見られます。
写真は、河戸谷の西の支流が長良川に合流する場所から4mほど東の左岸河床露頭を南から撮ったものです。
通常の礫岩は、砕かれて砂粒になれなかった礫(径が2mm以上の粒)が集まって堆積した岩石であり、礫の間を埋めているのは砂粒です。
しかし、ここで見られる岩石は、砂よりもさらに細かい泥が大小の岩塊の間を埋めていることから、通常の礫岩ではありません。このような堆積物を「混在岩」といい、それらで構成されている地質体をメランジュと呼びます。
メランジュは、海洋のプレートの上に堆積したものが、陸側のプレートの下にもぐりこむ際、はぎ取られ混ざり合いながら陸側のプレートにくっついていく(付加する)場合の特徴的な地質体です。
この露頭では、黒色の泥岩中に大小さまざまの砂岩の岩塊が入っています。大きいものは1m以上の径をもち、小さいものは数cm径です。
下の写真は、上の写真の中央部を近づいて撮ったもので、ハンマーの右に不定形をした礫(岩塊)がいくつも見られますがすべて砂岩からできています。
上の写真たちは同じような写真が二枚並んでいますが、それぞれの写真の白丸を、左の写真は左目で、右の写真は右目で見て、重ね合わせるようにすると立体的に見ることができます。
下の写真は、上の写真のハンマーの下部を拡大して撮ったもので、礫が入っているのがわかります。スケールとして置いてあるハンマー、シャープペンシルの長さはそれぞれ約28cm、約14cmです。
地質図において、この露頭が見られる×地点には灰色(Mmx)が分布します。これがメランジュからなる地層です。(地質図はジオランドぎふより。岐阜県博物館提供)
こちらでもメランジュを紹介しています。