美濃帯堆積岩類などの付加体堆積物は、海洋で噴出した玄武岩や海洋で堆積した石灰岩、チャート、珪質泥岩が、海洋プレートに運ばれることによって、陸地から海洋へ供給された砂や泥と混じり合って、大陸の縁(現在の日本列島)に付加したものです。
チャートは砂や泥が届かないような陸地から離れた深海底で堆積したものですが、珪質泥岩はやや陸地に近づいたところで堆積したものです。
そのため、珪質泥岩は泥とチャート形成のもととなっている放散虫の粒が混ざって堆積しています。
地質図では、長良川鉄道郡上八幡駅付近から北方の有坂にかけて、砂岩層が広く分布しますが、その中に珪質泥岩層が小規模に何ヶ所かで存在しています。この露頭はその中の一つです。
今回紹介するのは、八幡町五町の報徳橋上流100mほどの左岸露頭で、大型酒店の西にある売物件店舗のすぐ西です。ここの珪質泥岩は、表面はやや緑色っぽい灰色で、内部はやや緑色っぽい暗灰色をしています。
珪質泥岩の両側に砂岩があるのがわかります。砂岩にはさまれた珪質泥岩の幅は15mほどです。
葉理面(細かい堆積面)が明確で、葉理方向に割れ目が多くあります。灰色の砂岩層と接していて、観察する限り、境界面は西北西を軸として北北東に傾いています。
下の写真は珪質泥岩と砂岩の境界部を北西から撮ったもので、ハンマーを含んで左側が珪質泥岩で、右側が砂岩です。スケールとして置いてあるハンマーの長さは約28cmです。
下の写真は、上の写真に写っているハンマー付近を近づいて撮ったものです。同じような写真が二枚並んでいますが、それぞれの写真の黒丸または白丸を、左の写真は左目で、右の写真は右目で見て、重ね合わせるようにすると立体的に見ることができます。
地質図において、この珪質泥岩の露頭(×地点)は、広く分布する黄色(Mss)中に細長く存在するそら色(Msi)の中にあります。黄色はおもに砂岩からなる地層で、そら色は珪質泥岩からなる地層です。(地質図はHP「ジオランドぎふ」より 岐阜県博物館提供)