長良川本流沿い露頭編その98で、ドロストーン(苦灰岩)をはさむ層状チャートや、チャートとドロストーンが繰り返して積み重なる岩石(チャート-ドロストーン互層)を紹介しました。
八幡町貝付の高速道橋脚(西側)の近くでも、チャートとドロストーンの互層が見られます。
ドロストーンはドロマイト(CaMg(CO3)2)からなる岩石で、ドロマイトは石灰岩を構成しているCaCO3中のカルシウム分が海水中でマグネシウムに置き換わったものと考えられています。
ただし、チャートと石灰岩、ドロストーンは形成条件がまったく違う(チャートは深い海で形成、石灰岩・ドロストーンは浅い海で形成)ため、チャートとドロストーン、チャートと石灰岩が互層しているように見える産状の形成過程は正確にはわかっていません。
ここのチャート-ドロストーン互層の露頭は、淡褐灰色をした10cm~35cmの厚さのドロストーンと、淡青灰色~淡灰色をした数cm~15cmの厚さのチャートが交互に堆積しています。
ドロストーンとチャートの境界は明瞭です。長良川本流沿い露頭編その98と比べると、ドロストーンは厚く、平行に層が続いています。
下の写真は、上の写真に写っているハンマーの左下に記入してある「チャート」の左付近を近づいて撮ったものです。中央のチャート層(淡青灰色)に、5mmほどの細長レンズ状の淡褐灰色のドロストーンが入っているのもわかります。
また、チャート層の中に細長くドロマイトが入る部分も見られます。
地質図において、このチャート-ドロストーン互層の露頭(×地点)は緑色(Mbs)の玄武岩質岩石からなる地層の中にあります。周辺には、オレンジ色(Mch)のおもにチャートからなる地層が点在していますので、それと同様のものが露出していると思われます。(地質図はHP「ジオランドぎふ」より 岐阜県博物館提供)
下の写真は、同じ露頭の他の場所を北から撮ったもので、ここでもチャートとドロストーンが交互に積み重なっているのがわかります。
スケールとして置いてあるハンマー、黄色の定規の長さはそれぞれ約28cm、約20cmです。
同じような写真が二枚並んでいますが、それぞれの写真の白丸を、左の写真は左目で、右の写真は右目で見て、重ね合わせるようにすると立体的に見ることができます。