長良川本流沿い露頭編その101で紹介した玄武岩質溶岩の水冷破砕の露頭から上流へ200mほど進むと、左岸河床にドロストーンをはさんだ層状チャートの露頭があります。
美濃市の保木脇と横持付近、および八幡町と美並町の境界付近では、チャート層中にドロストーンをはさむ露頭や、チャートとドロストーンが互層になった露頭を見ることができます。(長良川本流沿い露頭編その98、長良川本流沿い露頭編その99で紹介しています。)
ドロストーン(苦灰岩)は、ドロマイト(苦灰石:(CaMg(CO3)2))からなる岩石です。ドロマイトは、石灰岩を構成しているCaCO3中のカルシウム分が、海水中でマグネシウムに置き換わったものと考えられています。
ドロマイトに置き換わる前の石灰岩の形成は、浅い海でしか起こりません。深い海だと溶けてしまうため、形成されないのです。一方、チャートは深い海で形成します。このようにチャートと石灰岩は形成条件がまったく違うため、同時に存在しているように見える産状の形成過程は正確にはわかっていません。
ここの露頭では、層状チャートの中に黄灰色~淡褐灰色をしたドロストーンが不定形で混じったように入っていたり、チャート層の間に1cm前後の幅でレンズ状に入っていたり、チャート層の中に1cm~数cmの幅で同じようにレンズ状で入っていたりします。
下の写真では、淡青灰色をした数cm~15cm厚のチャート層の間に、灰色をした数mm~5mm厚の泥岩層がはさまっている様子を見ることができます。
下の写真は同じく上の写真のハンマーの左上を近づいて撮ったものです。灰色の岩石がチャートで、淡褐灰色の岩石がドロストーンです。ドロストーンが不定形で混じり込んだように入っているのがわかるでしょうか?
下の写真は、上の写真の中心から2mほど左(北東)を北西からパノラマで撮ったもので、層状チャートが褶曲しているのがわかります。スケールとして置いてあるハンマー、黄色の定規の長さはそれぞれ約28cm、約20cmです。
地質図において、ドロストーンを含む層状チャートの露頭(×地点)は、広く分布する緑色(Mbs)の中に不連続で存在するオレンジ色(Mch)中にあります。緑色はおもに玄武岩質火山岩類(緑色岩)からなる地層で、オレンジ色はおもにチャートからなる地層です。
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