前回長良川本流沿い露頭編その99で紹介したチャート-ドロストーン互層の北(上流側)には、玄武岩質溶岩やチャート層が露出しています。
玄武岩質溶岩が海底で噴出したり、噴出した後海水にふれたりしたときに、海水にふれた部分は急冷して固い殻ができます。しかし、内部は熱く溶けたままなので、できた殻の一部を破って外へ出ますが、また急冷して外側に殻ができます。そのようなことを繰り返します。
その結果、枕状溶岩と呼ばれる西洋枕の形をした溶岩がいくつも積み重なったものが形成されます。
そのため、この枕状溶岩が見られると、海底で噴出したか、噴出した後海水にふれる状況であったことがわかります。
長良川沿いで見られる枕状溶岩の中で一番わかりやすい露頭は、長良川本流沿い露頭編その96で紹介した八幡町浅柄地区の東のものですが、ここの露頭では枕状溶岩の断面形と思われるものが見られます。前回と同じように、砕石製造所の敷地内を通り(敷地内は立入禁止になっていますので、断ってから入ります)、細い道で河原へ下ります。そして、上流側(北)へ進むとこの露頭があります。
下の写真は、上の写真のハンマーの右を近づいて撮ったものです。
スケールとして置いてあるハンマー、黄色の定規の長さはそれぞれ約28cm、約20cmです。
下の写真は、上の写真に写っているハンマーの右と右下の枕状溶岩をそれぞれ撮ったものです。これらの枕状溶岩は流れる方向に対して垂直の断面を見ていると思われます。上の枕状溶岩は縦が30cm、横が30cmです。下の枕状溶岩は縦が37cm、横が25cmです。
地質図において、玄武岩質溶岩の枕状溶岩の露頭(×地点)は緑色(Mbs)の中にあり、緑色はおもに玄武岩質火山岩類(緑色岩)からなる地層です。(地質図はHP「ジオランドぎふ」より 岐阜県博物館提供)