結晶の大きさ(急冷周縁相)【長良川沿いの花崗斑岩2】

急冷周縁相

郡上市美並町黒地の長良川左岸に花崗斑岩が露出しており、さらに、美濃帯堆積岩類のチャート貫入しています。

チャートとの接触部付近の花崗斑岩は鉱物の粒が細く、少し離れているところの花崗斑岩には結晶が大きいもの(斑晶といいます)が入っているのがわかります。

このように、貫入した岩体において、貫入された岩石との接触部付近では鉱物の結晶が細かい状態が見られることが多く、その岩相を急冷周縁相と呼びます。

また、マグマが貫入して板状に固まったものを岩脈といいますが、花崗斑岩などの岩脈では、より大きな結晶が岩脈の中央部に集まる傾向が知られています。
冷え固まる前の岩脈の中をマグマなどの液体が流れて移動するときに、他の岩石との接触部では低温と摩擦のため低速になりますが、中央部は高速のままです。
すると、高速である中央部に大きな結晶が移動するのです。

今回の露頭

国道156号線を美濃市市街から北上し、道の駅美並を越え、1.7kmほど進んだところにある子宝の湯の表示板を右折し進むと赤い勝野橋があります。
そこを渡り、右折し、南へ進み(長良川の左岸)900mほどのところで車を止め、川原へ降りる細い道があるのでそこを下りると川原に出ます。

ここに、花崗斑岩が露出しています。

真中の写真はチャートとの接触面付近で撮ったもので、鉱物がすべて細かいです。

一方、下の写真は接触面から離れている花崗斑岩を撮ったもので、大きな斑晶がわかります。

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この記事を書いた人

元小中学校の教員(岐阜県美濃地方)。
定年退職し、今までなかなかできなかった川沿いの地質などを見て回っています。
特に、長良川沿い(支流を含めて)、長良川鉄道沿いの地質を広めていきたいと思っています。
「みのひだの地質99選(岐阜新聞社発行)」とHP「ジオランドぎふ」を参考に、岐阜県美濃地方を歩いています。

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