今回は、長良川本流沿い露頭編その144で紹介した珪質泥岩層の露頭から西へ100mほどの露頭を紹介します。
長良川鉄道「自然園前」駅の東の道を南へ歩き、突き当たった堤防道路を左折し東へ110mほど進むと、河原へ下りる階段があります。階段を下りて、西(上流)へ50mほど進むと、河床に露頭があります。
石英斑岩
花崗岩質マグマが他の岩石に貫入して冷え固まった岩石は、花崗斑岩と呼ばれますが、その中で長石などは目立たずに、石英の自形結晶(斑晶)が目立つものを特に石英斑岩と呼びます。
写真は石英斑岩が貫入している露頭を撮ったものです。露頭の右側が石英斑岩(淡青灰色~淡褐灰色)で、左側が細粒の砂岩層(淡灰色~青灰色)です。
写真内の●から上方へ縦に細粒の砂岩層(左側)と石英斑岩(右側)の境界部があります。また、左右の●を、左の写真は左目で、右の写真は右目で見て、重ね合わせるようにすると立体的に見えます。
捕獲岩(ゼノリス)
ここの石英斑岩は、全体的には淡青灰色~淡褐灰色をしていて、1mm前後の石英と1mm~5mmのカリ長石が点在しています。また、数cm~10cm径の捕獲岩(ゼノリス)が点在している部分があります。捕獲岩は砂岩や泥岩だと思います。
捕獲岩(ゼノリス)は、火成岩に含まれる異種の岩石片のことです。マグマが上昇する途中で周りの岩石を取り込んだもので、マグマの熱によって変成している場合が多いです。
下の写真は捕獲岩が点在している部分を南から撮ったもので、写真の縦は7cmです。
肉眼での観察では長良川本流沿い露頭編その140で紹介した八幡町五町の北の左岸に露出する石英斑岩に似ています。
下の写真は石英斑岩を割った面を接写したもので、写真の縦は1.5cmです。
地質図において、この石英斑岩の露頭(×地点)は黄色(Mss)の中にあり、黄色はおもに砂岩からなる地層です。石英斑岩の規模が小さいため、地質図には表現されていませんが、×地点の東や南東にレンズ状に表現してある濃いピンク色(Okg)と同様な岩体で、奥美濃酸性岩類の岩脈だと思います。(地質図はHP「ジオランドぎふ」より 岐阜県博物館提供)