玄武岩質溶岩の板状節理【長良川本流沿い露頭編106】

長良川本流沿い露頭編その105で紹介したドロストーンを含んだ層状チャートの露頭から東へ70mほど進んだところに、玄武岩質溶岩の板状節理の露頭が見られます。

八幡町と美並町の境界付近左岸露頭

板状節理

板状節理は火成岩(火山岩)の表面にほぼ平行に生じた割れ目で、板を重ねたように見えるものです。

写真は上の写真の中央少し右側を撮ったものです。ハンマーの左右に板状節理が見られます。

下の写真は、上の写真のハンマー付近を近づいて撮ったものです。横方向に多くの平行な割れ目があるのがわかると思います。これが板状節理です。

同じような写真が横に並んでいますが、それぞれの写真の白丸を、左の写真は左目で、右の写真は右目で見て、重ね合わせるようにすると立体的に見ることができます。

板状節理のでき方

板状節理のでき方は明確にはわかっておらず、いくつかの説があります。

  • 溶岩の流れの方向にはたらく力によって、面がすべるように作用するために平行に割れ目が生じるという説
  • 柱状節理と同様に、溶岩の堆積収縮で形成されるという説
  • 固まりかけの溶岩が横方向に流れている場合、端に地形的な障がいがあったり、端がいち早く冷え固まったりして、それ以上流れることができないと、行き止まりとなり、後からの溶岩に押され流れの方向に圧縮されることになります。その結果、上下方向に厚くなることで、平行に割れ目が生じるという説
  • 例えばノートを机などに置き、横から力を加えると、ノートの真中が上方向に盛り上がり、ノートの一枚一枚が離れた状態になるというイメージの説

ここの露頭では、板状節理は平行な割れ目と割れ目の間の幅が5mm〜3cmのところが多く、最大は5cmほどのところもあります。また、板状節理の見られる上位は、枕状溶岩のような状態になっています。(ただし、はっきりはしません)

下の写真は、上の写真の露頭を北から撮ったものです。下の写真は同じ露頭の違う部分を北西から撮ったもので、枕状溶岩のように見える玄武岩質溶岩があります。スケールとして置いてあるハンマーの長さは約28cmです。

地質図において、長良川沿いの八幡町浅柄~貝付周辺は緑色(Mbs)が広く分布し、その中にオレンジ色(Mch)が点在します。玄武岩質溶岩の板状節理の露頭(×地点)は、緑色の中にあります。緑色はおもに玄武岩質火山岩類(緑色岩)からなる地層で、オレンジ色はおもにチャートからなる地層です。(地質図はHP「ジオランドぎふ」より 岐阜県博物館提供)

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この記事を書いた人

元小中学校の教員(岐阜県美濃地方)。
定年退職し、今までなかなかできなかった川沿いの地質などを見て回っています。
特に、長良川沿い(支流を含めて)、長良川鉄道沿いの地質を広めていきたいと思っています。
「みのひだの地質99選(岐阜新聞社発行)」とHP「ジオランドぎふ」を参考に、岐阜県美濃地方を歩いています。

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