美並町深戸の混在岩と層状チャート岩塊【長良川本流沿い露頭編95】

美並町深戸地区(長良川鉄道深戸駅周辺)において、国道156号から河原へ下りる道があります。そのうちの西側の道へ入る入口の南下に、混在岩が露出しています。

長良川本流沿い露頭編その94で紹介した砂岩層の露頭の北西方向にあたります。

郡上市美並町三戸深戸左岸河床露頭

混在岩は、美濃帯堆積岩類のような付加体堆積物に特徴的な岩石で、メランジュからなる地層のおもな構成物です。ここの混在岩は、基質である黒色~暗灰色の泥岩の中に、おもに数cm~20cm径の砂岩やチャートの礫(岩塊)を含んでいます。

その中には大きい礫(岩塊)は50cm以上の径をもったものもあります。礫(岩塊)はレンズ状をしたものが多いです。また、基質の部分である泥岩には、一定方向の割れ目が見られます。

周囲には全体的にチャートが分布しているので、連続性のある地層にようにも思えますが、実際はメランジュの中の巨大な岩塊にすぎません。

下の写真は上の写真のハンマーの右上を近づいて撮ったもので、スケールの右の礫はチャートです。

上述の混在岩の露頭から南東へ30mほどのところには、南北に25m以上、東西に16mほどの層状チャートが露出しています。一方、周囲には層状チャートが露出していません。このことから、この層状チャートはメランジュの中の巨大な岩塊と思われます。

下の写真は、上の写真に写っている露頭から南東へ30mほどのところにある露頭を東から撮ったもので、黒色の珪質泥岩をはさんだ層状チャートです。

下の写真は、上の写真のハンマーの周辺を近づいて撮ったものです。スケールとして置いてあるハンマーと黄色の定規の長さはそれぞれ約28cm、約20cmです。

地質図において、灰色(Mmx)はメランジュからなる地層です。×地点が今回紹介した混在岩の露頭です。×地点のすぐ東には、黄色(Mss)で表してあるおもに砂岩からなる地層が分布しています。(地質図はHP「ジオランドぎふ」より 岐阜県博物館提供)

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この記事を書いた人

元小中学校の教員(岐阜県美濃地方)。
定年退職し、今までなかなかできなかった川沿いの地質などを見て回っています。
特に、長良川沿い(支流を含めて)、長良川鉄道沿いの地質を広めていきたいと思っています。
「みのひだの地質99選(岐阜新聞社発行)」とHP「ジオランドぎふ」を参考に、岐阜県美濃地方を歩いています。

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