前回の長良川本流沿い露頭編その47の対岸にも玄武岩質溶岩が露出していますので、紹介します。
ここでは、対岸で見られるような玄武岩質溶岩が水冷によって破砕されたものが集まった岩石(ハイアロクラスタイト)ではなく、断面形としては楕円状をした枕状溶岩が見られます。
玄武岩質マグマ(粘性が小さいマグマ)が海水などで急冷すると、砕ける(破砕される)部分もありますが、表面だけが冷えて固まって殻をつくります。しかし、内部は熱いままなので、外側にできた殻を破って、絞り出されるように流れます。すると、また海水で急冷して殻をつくります。これを繰り返して、西洋枕状、または米俵状の形をした溶岩がいくつもできるのです。これが枕状溶岩です。
ここで見られるものは、長径が20cmほど、短径が10cmほどのものが数基見られるだけですが、平面ではくずれた楕円形が確認できます。
下の写真は、上の写真に写っているハンマーの位置を近づいて撮ったものです。黄色のスケールの左に写っている少しくずれた楕円形をした2つのものが、枕状溶岩だと思われます。
下の写真は、上の写真に写っているハンマーの右上の位置を近づいて撮ったものです。枕状溶岩とみられるものがいくつかあります。
スケールとして置いてあるハンマー、黄色の定規の長さはそれぞれ約28cm、約20cmです。
また、同じような写真が二枚並んでいますが、それぞれの写真の白丸を、左の写真は左目で、右の写真は右目で見て、重ね合わせるようにすると立体的に見ることができます。
地質図において、玄武岩質溶岩が見られる露頭(×地点)は緑色(Mbs)をしていて、緑色岩(玄武岩質火山岩類)からなる地層です。灰色(Mmx)であるメランジュからなる地層の中に小規模に分布しています。(地質図はジオランドぎふより。岐阜県博物館提供)