鉄道車窓から見える岩石その9で紹介した郡上市八幡町浅柄の玄武岩質溶岩の枕状溶岩を再度紹介します。
枕状溶岩は西洋枕(または米俵)状をした玄武岩質の溶岩を指します。
この枕状溶岩がいくつも積み重なっている状態が見られる露頭はなかなかありませんが、今回紹介する浅柄地区のこの枕状溶岩は、美濃地方できれいにはっきりと見える場所の1つです。
郡上市美並町深戸(長良川鉄道の深戸駅がある地区)の対岸である長良川右岸の県道61号線を北上し、郡上市八幡町に入ったすぐの集落が浅柄地区です。
その浅柄地区のゴミステーションの東から河原へ下りると、河床付近に露頭が見られます。下の写真は同じような写真が二枚並んでいますが、それぞれの写真の白丸を、左の写真は左目で、右の写真は右目で見て、重ね合わせるようにすると立体的に見ることができます。
枕状溶岩のでき方を紹介します。
火山噴火が海底または海洋近くで起こり、噴出した玄武岩質溶岩が海水に触れると、西洋枕(または米俵)状をした溶岩の塊(枕状溶岩)が積み重なりながら固まります。熱い玄武岩質溶岩が海水などで急冷すると、表面だけが冷えて固まって一度殻をつくります。
しかし、内部は熱いままなので、できた殻を破って中の溶岩が絞り出されるように流れます。そして、また海水で急冷して殻をつくります。これを繰り返して、見かけ上西洋枕の形をした溶岩がいくつもできるのです。これが、枕状溶岩です。
地質図において、緑色はおもに玄武岩質火山岩類(緑色岩)からなる地層です。ところどころにチャートからなる地層(オレンジ色(Mch))が分布しています。×地点が、枕状溶岩がきれいに見える地点です。(地質図はHP「ジオランドぎふ」より 岐阜県博物館提供)
下の写真は真中の写真に写っているスケール(コンベクス)の右を近づいて撮ったものです。長細い楕円形のものが枕状溶岩で、間に白っぽい石灰岩が入っている部分もあります。
下の写真は、枕状溶岩の露頭を西から撮ったものです。スケールとして置いてあるコンベクス(メジャー)、ハンマーの長さはそれぞれ1m、約28cmです。