美並町深戸地区(長良川鉄道深戸駅周辺)において、国道156号から河原へ下りる道があります。そのうちの西側の道へ入る入口の南下に、混在岩が露出しています。
長良川本流沿い露頭編その94で紹介した砂岩層の露頭の北西方向にあたります。
混在岩は、美濃帯堆積岩類のような付加体堆積物に特徴的な岩石で、メランジュからなる地層のおもな構成物です。ここの混在岩は、基質である黒色~暗灰色の泥岩の中に、おもに数cm~20cm径の砂岩やチャートの礫(岩塊)を含んでいます。
その中には大きい礫(岩塊)は50cm以上の径をもったものもあります。礫(岩塊)はレンズ状をしたものが多いです。また、基質の部分である泥岩には、一定方向の割れ目が見られます。
周囲には全体的にチャートが分布しているので、連続性のある地層にようにも思えますが、実際はメランジュの中の巨大な岩塊にすぎません。
下の写真は上の写真のハンマーの右上を近づいて撮ったもので、スケールの右の礫はチャートです。
上述の混在岩の露頭から南東へ30mほどのところには、南北に25m以上、東西に16mほどの層状チャートが露出しています。一方、周囲には層状チャートが露出していません。このことから、この層状チャートはメランジュの中の巨大な岩塊と思われます。
下の写真は、上の写真に写っている露頭から南東へ30mほどのところにある露頭を東から撮ったもので、黒色の珪質泥岩をはさんだ層状チャートです。
下の写真は、上の写真のハンマーの周辺を近づいて撮ったものです。スケールとして置いてあるハンマーと黄色の定規の長さはそれぞれ約28cm、約20cmです。
地質図において、灰色(Mmx)はメランジュからなる地層です。×地点が今回紹介した混在岩の露頭です。×地点のすぐ東には、黄色(Mss)で表してあるおもに砂岩からなる地層が分布しています。(地質図はHP「ジオランドぎふ」より 岐阜県博物館提供)