長良川沿いのチャート層その5で紹介した赤池のチャート(甌穴)と珪質粘土岩を再度紹介します。
長良川鉄道「赤池駅」の東の踏み切りを南に進み、突き当たった長良川右岸沿いに、突出した岩石が広がっています。この岩石はチャートです。また、大きな甌穴も見ることができます。
甌穴は上流から運ばれてきた石が岩盤の表面にある割れ目などにひっかかり、強い流れの中でその石が回転し、ドリルのように岩盤に穴をあけたものです。岩盤が硬くない場合は、穴ができても周りがくずれるため、しっかりとした穴が残りません。そのため、甌穴はチャートのように河床の岩盤が硬い場合に見られます。
ここの甌穴は不定形で、いくつかの甌穴がくっついてできたようです。約4.5m×約4mと約3m×約2.5mの楕円形をした甌穴が確認できます。どちらの甌穴にも、複数の円磨された礫(石)が入っています。
同じような写真が二枚並んでいますが、それぞれの写真の白丸を、左の写真は左目で、右の写真は右目で見て、重ね合わせるようにすると立体的に見ることができます。
真中の写真は中上の写真の手前の甌穴を北から撮ったもので、円磨された礫が複数入っているのがわかります。この甌穴は上から見ると東西に約3m、南北に約2.5mの楕円形です。
甌穴の東へ30mほど進んだところには、層状チャートと接して珪質粘土岩も見られます。ここの珪質粘土岩は、淡緑灰色の珪質粘土岩の中に、見かけ上1cm~10cm幅の黒色珪質泥岩が細長いレンズ状で入っています。
下の写真は上の写真のハンマーのグリップの下辺りを近づいて撮ったものです。スケールとして置いてある黄色の折れ尺、白色のメジャー、ハンマー、黄色の定規の長さはそれぞれ1m、1m、約28cm、約20cmです。
地質図において、甌穴と珪質粘土岩の露頭(×地点)は灰色(Mmx)の中にあり、灰色はメランジュからなる地層です。ですから、このチャート層はメランジュの中の大きな岩塊だと考えられます。地質図にも描いてあるように、対岸もチャート層からなっていて、対岸のチャート層と一連のものかもしれません。
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