美並町福野の福野農道橋から長良川上流を眺めると、左岸(東側)河床に黒っぽい岩石が露出しています。
河原へ下りてみると、層状チャート中に黒色のチャートが入っているのと、珪質粘土岩が露出しているのがわかります。
写真は露頭を南からパノラマで撮ったものです。
珪質粘土岩は粘土鉱物からなる岩石で、美濃帯堆積岩類においてはチャート層に伴って存在し、中に黒色の珪質泥岩をはさむことを特徴としています。調査研究によって、中生代三畳紀の層状チャートの基底部に存在することがわかっていて、三畳紀初期における酸素が少ない状態の海洋で堆積したものだと考えられています。
また、黒色チャートは硫化鉄(主に黄鉄鉱)や炭素化合物などの酸素の乏しい場所でできた物質を含んでいるため黒く、還元状態で堆積したと考えられています。つまり、黒っぽいチャートが堆積したときは海洋中に酸素が少なかったようです。このように、珪質粘土岩と黒色チャートは海洋中に酸素が少なかった時期に堆積したものだと考えられています。
地質図では、この露頭(×地点)はオレンジ色(Mch)と灰色(Mmx)の境界付近にあたります。オレンジ色はおもにチャートからなる地層で、灰色はメランジュからなる地層です。
下の写真は、上の写真の中央部を撮ったものです。ハンマーのグリップ部から上に黒色チャート層があります。また、その上部にも黒色チャート層と珪質粘土岩が見られます。
ここの層状チャートは、淡青灰色~暗青灰色をした数cm~5cm厚のチャート層の間に、淡青灰色をした5mm~3cm厚の泥岩層をはさんでいます。黒色チャート層(層状チャート)は、数cm~8cm厚の黒色チャート層の間に、5mm~1.5cm厚の黒色泥岩層をはさんでいます。
下の写真は上の写真の中央上部に写っている露頭を東からパノラマで撮ったもので、珪質粘土岩です。
淡青灰色の珪質粘土岩に、見かけ上1cm~15cm幅の黒色泥岩が細長いレンズ状で入っています。
黄色の定規の長さは約28cmです。