郡上市美並町の温泉施設の入口から南へ100m弱のところに、西(長良川の方)へ向かう道があります。そこを突き当りまで進みます。河原への細い道を下り、左手に進むと黒い層状チャートの露頭があります。

写真は黒色層状チャートを西からパノラマで撮ったものです。
チャートは、砂や泥が届かないような深海底で、放散虫などの珪酸質の殻を持った生物の遺骸が堆積し、固結した岩石です。
砂岩は灰色っぽい、泥岩は黒っぽいなど、岩石はある程度色が決まっていると考えがちですが、チャートには白色、灰色、黒色、赤褐色、うすい緑色など、さまざまな色があります。

この色の変化は、チャートが堆積した海洋環境の変化を表していると考えられています。暗灰色や黒色のチャートは還元状態で堆積し、硫化鉄(主に黄鉄鉱)や炭素化合物などの酸素の乏しい場所でできた物質を含んでいます。そのため、黒っぽいチャートが堆積したときは海洋中に酸素が少なかったと考えられています。
下の写真は上の写真の中央部を撮ったものです。同じような写真が二枚並んでいますが、それぞれの写真の白丸を、左の写真は左目で、右の写真は右目で見て、重ね合わせるようにすると立体的に見ることができます。

下の写真は、上の写真のハンマーの左下を南西から撮ったものです。黒色の層状チャートがわかると思います。スケールとして置いてあるシャープペンシルの長さは約14cmです。

地質図において、黒色の層状チャートの露頭(×地点)は灰色(Mmx)の中にあり、灰色はメランジュからなる地層です。この層状チャートは、メランジュの中の巨大な岩塊だと考えられます。

(地質図はHP「ジオランドぎふ」より 岐阜県博物館提供)