層状チャート中の石英斑岩 【長良川本流沿い露頭編6】

美濃市横越の下渡橋の下流側右岸に岩石が露出しています。近寄って見ると、暗青灰色~灰色の層状チャートと淡黄灰色の石英斑岩が接触しているのがわかります。

長良川沿いには美濃帯堆積岩類が広く分布しますが、それを貫くように、花崗斑岩や石英斑岩などの貫入岩を所々で見ることができます。

花崗斑岩石英斑岩などの貫入岩は、マグマが高温の液体の状態で他の岩石に貫入し、冷え固まった岩石です。

美濃帯堆積岩類が大陸に付加した後に、現在長良川の東側に広く分布する濃飛流紋岩や西側に分布する奥美濃酸性岩類に関連したと思われるマグマの一部が貫入し冷え固まり、現在分布しているのです。

花崗斑岩は一般にはガラス質または細粒の結晶からなる石基の中に、石英や長石、黒雲母などの大きな結晶(斑晶という)が入っている岩石です。花崗斑岩の中で、石英の自形結晶(斑晶)が目立つものを石英斑岩と呼びます。石英斑岩は花崗斑岩と比べると斑晶が少なく、長石の斑晶が目立たないことが多いです。

スケールとして置いてあるハンマーの長さは約28cmです。

地質図において、オレンジ色はおもにチャートからなる地層です。×地点が下渡橋下流右岸です。(地質図は「ジオランドぎふ」より 岐阜県博物館提供)

地質図には石英斑岩が表現されていませんが、この地質図は5万分の1の縮尺です。(地質図は「ジオランドぎふ」より 岐阜県博物館提供)

公表されている最大の縮尺の地質図も5万分の1です。露頭で見る限りこの石英斑岩の幅は15mほどであり、5万分の1の縮尺で表すと0.3mmとなってしまいます。そのために、現実的に描き表すことができません。ですから、このような貫入岩が地質図に表現されていなくてもおかしいことではありません。

写真が四種類ありますが、上の写真は下渡橋下流右岸を北からパノラマで撮ったもので、中上の写真は上の写真の中央部を撮ったものです。中下の写真は中上の写真の左側を近づいて撮ったものです。

下の写真は石英斑岩を接写したもので、写真の縦は3cmです。


こちらの記事でも貫入岩を紹介しています。

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この記事を書いた人

元小中学校の教員(岐阜県美濃地方)。
定年退職し、今までなかなかできなかった川沿いの地質などを見て回っています。
特に、長良川沿い(支流を含めて)、長良川鉄道沿いの地質を広めていきたいと思っています。
「みのひだの地質99選(岐阜新聞社発行)」とHP「ジオランドぎふ」を参考に、岐阜県美濃地方を歩いています。

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