美濃市須原にある大規模工場の南東側の長良川右岸には、離れてはいますが2つの塔状の岩石が川原から露出しています。
写真は西側の塔状の露頭を中心にして北から撮ったもので、東側の塔状の露頭が写っています。
2つの岩塊とも、砂岩中の石英脈からなっています。西側の塔状の露頭は、東西約12m(長良川に沿って)、南北約8m、高さ約5mです。東側の塔状の露頭は少し小さいですが、東西約7m、南北約3m、高さ約4,5mです。この2塊の岩石は、周りと比べて硬いため塔状に残ったと思われます。
同じような写真が二枚並んでいますが、それぞれの写真の白丸を、左の写真は左目で、右の写真は右目で見て、重ね合わせるようにすると立体的に見ることができます。
下の写真は岩塊に近づいて撮ったもので(上の写真のハンマーの柄の下部あたり)、白い石英脈が入っているのがわかります。
下の写真は、塔状の露頭から東へ7mほど離れたところにあるもう1つの露頭を西から撮ったものです。最初に紹介した塔状の露頭から続いています。写真の中央上部に写っているのが塔状の露頭です。
ほぼ中央に縦に白く写っているのが石英の太い脈で、20cm~30cmの幅があり、中には砂岩などの角礫が入っています。小さい角礫は径が5mm~数cmで、大きい角礫は長径が15cm~50cmで短径が5cm~15cm程度あります。
角礫の入り方の特徴としては、大きい角礫が脈の中央近くにあること、礫の長径が脈の方向に並んでいることです。脈の中は冷え固まるまで流れがあって、外側より内側(中央近く)の流れの方が速かったことを示していると考えられます。
下の写真は、上と同じ露頭を反対側の東から撮ったもので、石英脈が多く入っているのがわかります。上部に写っているのが西側の塔状の露頭です。スケールとして置いてあるハンマーの長さは約28cm、上の写真に写っているスケールは1m、真中の写真の黄色のスケールは約20cmです。
地質図において、この露頭が見られる×地点はおもに砂岩でできた地層(黄色(Mss))が分布しています。(地質図はジオランドぎふより。岐阜県博物館提供)
長良川右岸沿いの砂岩層中では、他にも石英脈が多く入っている様子を見ることができます。