枕状溶岩【長良川本流沿い露頭編30】

長良川本流沿い露頭編28で紹介した玄武岩質溶岩(玄武岩質火山岩類)は、東北東-西南西に分布しています。

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洲原神社の南に露出する玄武岩質溶岩の北西600mほどの美濃市下河和の長良川左岸河床でも、玄武岩質溶岩が露出しているのが確認できます。(写真は南西から撮ったもの)

玄武岩質溶岩は、海底などで噴火をして海水に触れると、(または米俵)の形をしてそれが積み重なった状態で固まります。その西洋枕状の溶岩を枕状溶岩(ピローラバー)と呼びます。

熱い玄武岩質溶岩は海水などで急冷し、表面だけ固まって殻をつくります。しかし、内部は熱いままなので、殻を破って絞り出されるように流れ、また海水で急冷して殻をつくるということを繰り返します。そのため、見かけ上西洋枕状の形をした溶岩がいくつもできるのです。

下の写真では、長径が10数cmの細長い楕円形をしたものや径が10cm以下の楕円形をしたものをみることができます。これが枕状溶岩です。(スケールとして置いてあるシャープペンシルの長さは約14cm)

下記で紹介している郡上市八幡町浅柄の長良川右岸でも、枕状溶岩をはっきり観察することができます。

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周辺の地質図はこちらです。

この露頭のある×地点の周辺は緑色(Mbs)になっており、おもに緑色岩(玄武岩質火山岩類)からできた地層です。また、緑色の中に小規模に分布するそら色(Mlm)はおもに石灰岩からなる地層で、対岸(右岸)の黄色(Mss)はおもに砂岩の地層です。(地質図はジオランドぎふより。岐阜県博物館提供)

前回の記事はこちらです。石灰岩に残る雨の跡を紹介しています。

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この記事を書いた人

元小中学校の教員(岐阜県美濃地方)。
定年退職し、今までなかなかできなかった川沿いの地質などを見て回っています。
特に、長良川沿い(支流を含めて)、長良川鉄道沿いの地質を広めていきたいと思っています。
「みのひだの地質99選(岐阜新聞社発行)」とHP「ジオランドぎふ」を参考に、岐阜県美濃地方を歩いています。

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