地質図によると、郡上市八幡町の貝付の北から西乙原にかけて、長良川沿いにはメランジュからなる地層が分布しています。
メランジュは美濃帯堆積岩類などの付加体堆積物に特徴的な地質体で、基質となる黒色の泥岩中に大小さまざまな岩塊が入っています。
岩塊の中で大きいものは、5万分の1の地質図幅にも表現できる大きさで、100m~1kmにも及ぶものまであります。
この露頭のように、露頭レベルで黒色の泥岩の中に砂岩やチャートの数cm~10数cm径の礫が入っている場合、混在岩という表現をします。長良川本流沿い露頭編その118~120で紹介したチャートは、一箇所の露頭をチャートがすべて占めているというメランジュの中の巨大な岩塊です。
八幡町西乙原には長良川鉄道の鉄橋が架かっていますが、右岸においては、鉄橋のほぼ下から上流へ60mほどにかけて、混在岩の露頭がところどころに露出しています。
写真は鉄橋のほぼ下の混在岩露頭を西からパノラマで撮ったものです。
ここでは、長良川鉄道の鉄橋のほぼ下(黒色×)と鉄橋の東50mほどの露頭(赤色×)を紹介します。
鉄橋のほぼ下の混在岩は、基質となる黒色泥岩の中におもに数cm~20cm径の礫(岩塊)が入っていて、礫は砂岩が多いです。大きいものでは、1mを超えるようなチャートや1mに近い砂岩なども入っています。鉄橋の東50mほどで見られる混在岩は、基質となる泥岩が暗灰色~黒色をしていて、暗灰色と黒色の泥岩が混ざって一定方向に筋が入っています。
下の写真は鉄橋の東50mほどの混在岩露頭を北から撮ったものです。
下の写真は、上の写真に写っているハンマー周辺を近づいて撮ったものです。灰色に写っている礫は砂岩です。
また、礫(岩塊)は全体的に少なく、ほとんど入っていない部分も見られます。入っている礫(岩塊)はおもに数cm~8cm径の砂岩で、大きいものでも径が17cm×9cmです。
下の写真は上の写真に写っているハンマーの右側を近づいて撮ったものです。スケールとして置いてあるハンマーの長さは約28cmです。