長良川本流沿い露頭編その105で紹介したドロストーンを含んだ層状チャートの露頭から東へ70mほど進んだところに、玄武岩質溶岩の板状節理の露頭が見られます。
板状節理
板状節理は火成岩(火山岩)の表面にほぼ平行に生じた割れ目で、板を重ねたように見えるものです。
写真は上の写真の中央少し右側を撮ったものです。ハンマーの左右に板状節理が見られます。
下の写真は、上の写真のハンマー付近を近づいて撮ったものです。横方向に多くの平行な割れ目があるのがわかると思います。これが板状節理です。
同じような写真が横に並んでいますが、それぞれの写真の白丸を、左の写真は左目で、右の写真は右目で見て、重ね合わせるようにすると立体的に見ることができます。
板状節理のでき方
板状節理のでき方は明確にはわかっておらず、いくつかの説があります。
- 溶岩の流れの方向にはたらく力によって、面がすべるように作用するために平行に割れ目が生じるという説
- 柱状節理と同様に、溶岩の堆積収縮で形成されるという説
- 固まりかけの溶岩が横方向に流れている場合、端に地形的な障がいがあったり、端がいち早く冷え固まったりして、それ以上流れることができないと、行き止まりとなり、後からの溶岩に押され流れの方向に圧縮されることになります。その結果、上下方向に厚くなることで、平行に割れ目が生じるという説
- 例えばノートを机などに置き、横から力を加えると、ノートの真中が上方向に盛り上がり、ノートの一枚一枚が離れた状態になるというイメージの説
ここの露頭では、板状節理は平行な割れ目と割れ目の間の幅が5mm〜3cmのところが多く、最大は5cmほどのところもあります。また、板状節理の見られる上位は、枕状溶岩のような状態になっています。(ただし、はっきりはしません)
下の写真は、上の写真の露頭を北から撮ったものです。下の写真は同じ露頭の違う部分を北西から撮ったもので、枕状溶岩のように見える玄武岩質溶岩があります。スケールとして置いてあるハンマーの長さは約28cmです。
地質図において、長良川沿いの八幡町浅柄~貝付周辺は緑色(Mbs)が広く分布し、その中にオレンジ色(Mch)が点在します。玄武岩質溶岩の板状節理の露頭(×地点)は、緑色の中にあります。緑色はおもに玄武岩質火山岩類(緑色岩)からなる地層で、オレンジ色はおもにチャートからなる地層です。(地質図はHP「ジオランドぎふ」より 岐阜県博物館提供)