美並町木尾の層状チャートと珪質粘土岩【長良川本流沿い露頭編59】

「道の駅美並」から長良川右岸へ階段で下り、下流(南西)へ100mほど進んだところに層状チャートと珪質粘土岩が一つの露頭で見られる場所があります。

珪質粘土岩は、美濃帯堆積岩類に特徴的な岩石(美濃帯の西の延長部に分布する丹波帯の堆積岩類にも同様の岩石は分布する)で、礫、砂、泥などの砕屑物をほとんど含まず、粘土鉱物だけからなる岩石です。中に黒色の珪質泥岩をはさむことを特徴とします。

珪質粘土岩は、中生代三畳紀の層状チャートの基底部に存在することがわかっていて、三畳紀初期における酸素が少ない状態の海洋で堆積したものだと考えられています。

ここの露頭では、見かけ上、層状チャート(灰色の泥岩層も含む)の上に珪質粘土岩が載る状態が見られます。実際には浸食の違いで、珪質粘土岩がより侵食されていて、一つの露頭で北西の面は層状チャートが露出していて、南東の面は珪質粘土岩が露出しています。

層状チャートは、淡青灰色~灰色~暗灰色をした5mm~3cmの厚さをもったチャート層の間に、1cm~7cmという厚い灰色の泥岩層をはさんでいます。珪質粘土岩は淡青灰色をしていて、5mm~3cmほど(厚いところでは20cmほどの部分もあり)の黒色泥岩をはさんでいます。

地質図において、この露頭(×地点)及び、南側にはオレンジ色(Mch)であるおもにチャートからなる地層が分布しています。また、北側にはそら色(Msi)である珪質泥岩からなる地層が分布します。(地質図はジオランドぎふより。岐阜県博物館提供)

同じ露頭を南東(川側)からパノラマで撮ったもので、層としては上位の珪質粘土岩が見られます。

下の写真は中下の写真に写っているハンマーの柄の左下を近づいて同じく南東から撮ったものです。

スケールとして置いてあるハンマー、黄色の定規の長さはそれぞれ約28cm、約20cmです。

同じような写真が二枚並んでいますが、それぞれの写真の白丸を、左の写真は左目で、右の写真は右目で見て、重ね合わせるようにすると立体的に見ることができます。

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この記事を書いた人

元小中学校の教員(岐阜県美濃地方)。
定年退職し、今までなかなかできなかった川沿いの地質などを見て回っています。
特に、長良川沿い(支流を含めて)、長良川鉄道沿いの地質を広めていきたいと思っています。
「みのひだの地質99選(岐阜新聞社発行)」とHP「ジオランドぎふ」を参考に、岐阜県美濃地方を歩いています。

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