砂岩層中の石英脈【長良川本流沿い露頭編31】

長良川本流沿い露頭編30の玄武岩質溶岩の対岸には、砂岩層(砂岩泥岩互層も含む)が露出しています。その砂岩層には、石英脈貫入岩が入った露頭があり、ここから4回にわたって紹介します。

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美濃市須原にあるタイヤバルブ関連の工場裏(南側)の長良川右岸沿いの砂岩層中には、石英脈が多く入っているのを見ることができます。

写真に写っている露頭は、砂岩層が分布している南西端にあたる露頭です。

石英は、クォーツとも呼ばれるもので、最も有名な鉱物かもしれません。石英は、二酸化ケイ素(SiO2)からできており、灰色・無色~白色などをしていることが多いです。

また、この石英だけからできている鉱脈(※)を石英脈と呼びます。

※鉱石を産出する場所のことを鉱脈と呼ぶこともありますが、ここでは岩石の割れ目が岩石によって満たされたものを指します。実際には板状になっていますが、地表からは帯状の断面として見ることができます。

この露頭で見られる石英脈は、1mm~5mmほどの幅のものが多いです。中には、小さな晶洞(岩石中にある空洞)があって、幅が1mm前後、高さが5mm前後の石英の結晶(水晶)もあります。(写真の縦は2.8cm)

地質図において、黄色(Mss)はおもに砂岩からできている地層です。近くには緑色(Mbs)、おもに緑色岩(玄武岩質火山岩類)からできている地層が分布します。×地点が、今回紹介している露頭です。(地質図はジオランドぎふより。岐阜県博物館提供)

下の写真は石英脈が入った砂岩層を撮ったものです。灰色の砂岩層の中に、白い細い線状のものが横方向に入っているのが見えるでしょうか?それが石英脈です。

下の写真は石英脈が多く入っているところを南東から拡大して撮ったものです。

スケールとしてハンマー、シャープペンシルを置いています。長さはそれぞれ約28cm、約14cmです。

前回の記事はこちら。

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この記事を書いた人

元小中学校の教員(岐阜県美濃地方)。
定年退職し、今までなかなかできなかった川沿いの地質などを見て回っています。
特に、長良川沿い(支流を含めて)、長良川鉄道沿いの地質を広めていきたいと思っています。
「みのひだの地質99選(岐阜新聞社発行)」とHP「ジオランドぎふ」を参考に、岐阜県美濃地方を歩いています。

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